レッツ連歌(下房桃菴)・5月10日付

(挿絵・Azu)
 人が好いのか気が弱いのか

告白をしたい相手の仲を持ち  (美郷)源  瞳子

ほんとうの私はいったいどんな人(浜田)滝本 洋子

呼び捨てにされても庇う男意気 (益田)吉川 洋子

あわてるな桃栗三年柿八年   (松江)本田  章

ノラ猫が産んだ子にまたなつかれて

              (隠岐の島)浅垣 多世

骨董の壷受け継いで眠れぬ夜  (安来)足立 純枝

女房が留守のときだけ飲みに行く(松江)水野貴美子

切られてもなにも語らぬトカゲの尾

               (松江)三島 啓克

ウソでしょと言い返さずに友でいる

               (益田)可部 章二

会長にしてから万事はかどらず (浜田)滝本 洋子

お父さんガソリン代は貰ったら(奥出雲)松田多美子

顔だけを見ればなるほど鬼瓦  (松江)石塚 修三

女房はそこんところが好きと言う(松江)高木 酔子

背負い投げ決めて相手の脈を取り(松江)西坂 瑞人

自販機を二三度叩き諦めて   (江津)花田 美昭

あのときの記念写真もウシロハジ(雲南)安部 小春

父さんはいつもニコニコ尻の下 (松江)加茂 京子

一月で布団十組届けられ    (出雲)放ヒサユキ

割り勘の端数自腹を切る覚悟  (松江)岩田 正之

初めからやり直せたらどう生きる(米子)板垣スエ子

三日間飲まず食わずにほだされて(松江)持田 高行

給食のお替りきょうも言い出せず(浜田)松井 鏡子

ノルマだと束のチケット買わされる

               (松江)澄川 克治

外国へ行くたび支援バラまいて (松江)植田 延裕

ホームラン打ち監督の顔見つめ (美郷)吉田 重美

ババ抜きをするに欠かせぬサングラス

               (松江)若林 明子

毎年のようにシロアリ駆除をする(江津)花田 美昭

月々の暮らしに困る保険料   (出雲)行長 好友

味噌汁へ陰でこっそりお湯を足し(出雲)石飛 富夫

徘徊と言われて爺ィは散歩やめ (益田)石川アキオ

忖度の重荷背負うて失職し   (浜田)勝田  艶

猫にまで家族の序列見抜かれて (雲南)渡部 静子

寄りかかる人を支えて乗り過ごし(美郷)芦矢 敦子

後の世は妙好人と慕われて   (出雲)栗田  枝

           ◇

 多美子さんのお気持ち、よく分かります。といって、人を乗せておいて後からガソリン代を請求するぐらいなら、初めから乗せないほうがよかったような気もします。

 「女房と相談をして義理を欠き」という古川柳を思い出しました。

 お金を入れたのに、商品が出てこない? あるいは、お釣りが出てこない? 私は両方だと思います。で、トボトボその場を立ち去る美昭さん。人が好いのか?気が弱いのか? 私は両方だと思います。

 同じ作者の「シロアリ駆除」もケッサク。味をしめた業者は、来年もきっとやってくることでしょう。

 「なにやかや押しつけられて断れず」みたいな句を、何人かからお寄せいただきました。が、「なにやかや」―、そんなにいろいろあるのなら、たった一つでよいから「なに」を押しつけられて断れなかったのか、ぜひともお教え願いたいものです。それだけで、句のイメージがぐんと鮮やかになる。早い話が、シロアリ駆除でもよかったのですが…。

 元の句のままだと、前句から一歩も出ていない、ということに、早くお気づきになってください。厳しいことを申しますが、選は公正にやっておるつもりです。

           ◇

 次の前句は、

心にもないことを言うこともあり

 前句が長句(五七五)ですから、付句は短句(七七)でお願いします。

              (島根大学名誉教授)

2018年5月10日 無断転載禁止

こども新聞