色いろいろ

 日本語でいう白、黒、赤、青といった基本的な色の名前がいくつあるかは、言語によってさまざまだ。世界119の言語を対象にした調査で、最も少なかったのはパプアニューギニアのある部族の二つだったという▼日本語や英語は10以上と多く、このグループは11言語で、どちらかと言えば少数派だ。4~7の基本的な色名を持つ言語が全体の半分を占める。「ことばと思考」(今井むつみ著)に記されている▼赤紫や水色など、色名を組み合わせたり何かにちなんだりしたものも含めれば、日本語の色名はどれだけの数になるのだろう。色彩プランナー・うおたまさみさんによる本紙連載「色いろいろ」は350ほどの色名を紹介する予定で、これまでに約300を掲載してきた▼江戸時代に流行した鼠(ねずみ)色系がとても多いことに驚いた。甕覗(かめのぞき)は、藍染めの甕にちょっとだけ浸したことから付いたユニークな名前。多様さはもちろん、命名センスが光るものもあり、先人の美意識に敬服する。色名の多さは、豊かな自然に育まれた日本人の繊細な感性を物語っている▼読者にも好評で「源氏物語や枕草子に出ていた色がやっと分かった」「折り紙の題材に合った色を考える参考になる」など地域文化の豊かさを感じさせる感想が相次いでいる▼浅緑、深緑、若葉色、萌黄(もえぎ)色、山吹色、常磐色、柳緑(りゅうりょく)、若草色…。これまでに紹介した中から、今の季節にぴったりな色名を挙げてみた。色を見つける目的も加えたら、新緑を訪ねる楽しみが増すかもしれない。(輔)

2018年5月11日 無断転載禁止