野球の本場に舞い降りた天使

 規格外。製品や農作物だと世に出ないマイナスイメージ。これがスポーツの世界では並外れた潜在能力の持ち主として脚光を浴びる。日本人大リーガー、大谷翔平選手。投げるは打つはの二刀流に磨きがかかって米球界を震撼(しんかん)させている▼きのうは打者の顔。センター深くに5号本塁打を放り込み、適時二塁打と合わせて7度目のマルチ安打。投げてはほぼ1週間間隔で先発登板し、ここまで3勝を挙げている▼大谷選手を語るとき、引き合いに出されるのが野球の神様、ベーブ・ルース。元祖二刀流で1918年に投手で13勝、打者で11本塁打の2桁の成績を残した。今季の大リーグの試合消化は全体の4分の1に満たない。ちょうど100年ぶりのルース超えが現実味を帯びてきた▼投手では通用すると予想された。打者としては、春キャンプでの打撃内容や強力打線のチーム事情で出場機会は限られるとみられていたが、そんな前評判をあいさつ代わりの衝撃の3戦連発で一蹴する▼活躍のたびに海外メディアは「勝利の女神」ならぬ「勝利の天使」と形容する。所属球団のロサンゼルス・エンゼルスからくるもの。スペイン語の定冠詞の「ロス」と「エンゼルス」を組み合わせた都市名、続くニックネームの双方に天使たちが宿る二刀遣いのチーム名は、二刀流にふさわしい▼イチロー選手が今季は一線を退き、日本人唯一の「野手」としても高まる注目度。海を渡って野球の本場に舞い降りた天使は、この先どんな夢を見せてくれるのだろう。(泰)

2018年5月12日 無断転載禁止