宍道湖

 宍道湖と特産のシジミの相性は塩加減によって左右される。海水と淡水が混じる汽水湖の宍道湖。塩分濃度が高まればシジミ資源量が増え、低下すると減る。シジミの資源管理に生かせそうなこんな研究成果を、島根県が設置した専門家らによる調査研究会が公表した▼研究会が立ち上がった6年前は宍道湖でシジミが急に減っていた。原因を明らかにするため、宍道湖の複雑な生態系の解明に多角的な科学の視点が集められた▼シジミの成育と塩分濃度の関係には餌となる植物プランクトンが介在する。塩分濃度が高くなれば餌に適したケイ藻が増え、低くなると不向きなラン藻が増える▼「宍道湖で二枚貝はシジミしか生息していないため、餌環境との関係は強い」と研究会の座長を務めた山室真澄東大大学院教授。ただ高すぎれば湖中の酸素量が減り、どの程度が最適か宿題は残る▼不漁が続いた宍道湖のシジミ生産は最近回復し島根県のシジミ漁獲量は4年前から日本一の座に復帰。資源量急減期と比べ2倍に高まった塩分濃度と歩調を合わせるように漁獲量は持ち直し「じょれんにかかるシジミの色の変化を見ていると成長ぶりが分かる」と宍道湖漁協の高橋正治参事▼この話を聞きながら、かつて宍道湖を淡水化する計画が進められていたのを思い出す。淡水化すればシジミは全滅するところだった。時代背景は異なるが、これだけの汽水湖を台無しにするのは「もったいない」と山室教授。時代も映す宍道湖の生態系の奥は深い。(前)

2018年5月14日 無断転載禁止