伊豆の「どんちっちアジ」

 大型連休の前半、就航したばかりのフジドリームエアラインズ(FDA)出雲-静岡便を利用し、静岡県河津町に住む親戚宅を訪ねた。首都圏と中京圏の中間に位置するため、静岡空港は2009年の開港時には不要論もあったという▼現在はFDAなどが出雲のほか札幌、福岡、鹿児島、那覇に定期便を飛ばす。国際線は上海、台北、ソウル便が就航。ニッチな需要を取り込んで、新興の地方空港では勝ち組となっていた▼河津町までは車で2時間ほど。早咲きの桜は島根県内にもあるが、河津町が発祥の地だ。近海で水揚げされるキンメダイが特産で、どこの旅館でも大ぶりの煮付けが出てくる▼地元で評判の回転すし店に寄った際、お勧めメニューを見て驚いた。地物のキンメダイやメダイ、近くの沼津港直送のマダイとともに「島根産生アジ」が載っていた。遠い旅先で並んだアジは脂が乗っていて、浜田港の近くで食べるのと遜色がなかった▼浜田市水産振興課によると、4月からシーズンに入った「どんちっちアジ」は、平均脂質10%以上、重さ50グラム以上と規定し、水揚げごとに検査する。関東圏には築地に直行するトラックに載せて出荷しているという。伊豆近海や周辺の太平洋でもアジは漁獲されるが、脂質がどんちっちアジの半分以下だそうだ▼江の川や高津川といった河川が山あいから日本海へと運ぶミネラル分が、アジの餌になるプランクトンを増やして、高品質のアジを育てる。図らずも古里の豊かさを感じた伊豆の旅だった。(釜)

2018年5月16日 無断転載禁止