レッツ連歌(下房桃菴)・5月24日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎周りからまだお若いとオダてられ

桁まちがえたバッグ買うハメ  (益田)可部 章二

◎新聞を毎朝声に出して読む

猿も覚えたカイザンソンタク  (益田)石田 三章

◎納得のいくまで徹夜して仕上げ

ラブレターには下書きが要る  (松江)相見 哲雄

◎持ち主の分からぬ空き家何百戸

屋根裏までは捜さなかった   (松江)川津  蛙

◎シカが出るイノシシが出るサルが出る

そんなハズないチョウ握りしめ (益田)可部 章二

◎盗まれたビットコインや今いずこ

やっぱ畳に敷くのがいちばん(隠岐の島)大田 有子

◎夜桜に年の差婚のつらさ知り

シートに届くデリバリのピザ  (松江)高木 酔子

◎腹の子のパパはみんなが知っており

それでも記憶にないと言い張る(奥出雲)松田多美子

毛並みのよさに夢は膨らむ   (雲南)錦織 博子

◎尼寺のしだれ桜の月の宵

ドラマチックな半生を聴く   (松江)岩田 正之

◎これでよし帽子にマスクサングラス

大気汚染に霞む風の日     (出雲)原  陽子

一度テレビに出ただけのこと  (松江)水野貴美子

◎バブル期に箱ものばかり建てたツケ

更地になって月極の札     (松江)河本 幹子

◎夜桜の宴たけなわの紙コップ

倒れぬようになみなみと注ぐ  (出雲)櫛井 伸幸

◎軽トラを野菜畑に乗りつけて

嫁いだ娘(こ)らに送る初物     (松江)田中 堂太

道の駅まで産地直送      (浜田)勝田  艶

出荷準備をする万華鏡     (益田)石川アキオ

ちょっとそこまでお茶しに行かない

               (松江)植田 延裕

◎ジイちゃんは降参したと両手上げ

間違い探し一つ残して     (出雲)野村たまえ

本気出してと真剣な孫     (浜田)滝本 洋子

嫁に任せる泣き止まぬ孫    (益田)石川アキオ

連休明けに通う鍼医者     (江津)花田 美昭

◎口づけもままにならない老いの恋

見て見ぬふりの介護福祉士   (浜田)勝田  艶

◎履物がズラッと並ぶ大家族

気勢そがれて物色もせず    (美郷)芦矢 敦子

異彩を放つジイちゃんの下駄  (松江)小谷由紀子

いちばん小さい母さんの靴   (浜田)松井 鏡子

◎ねじれ松妻にナイショで買ってきて

行ってしまったゴミ収集車   (松江)山崎まるむ

◎国会はてんやわんやの大騒ぎ

テレビを消して庭の草取り   (江津)花田 美昭

◎隠岐の風受けて空舞ういぐり凧

羽根きらめかせトビウオが翔ぶ (松江)森廣 典子

           ◇

 章二さんの句が二句入選しました。この二句に共通する表現上の特徴は、いったい何でしょう。

 答えはしばらく伏せておきます。皆さんご自身でお考えおきください。

 幹子さんの「月極」は、何でもないことばのようですが、「駐車場」を伏せる工夫とお見受けしました。

 私が初めてトビウオを見たのは、やっぱり隠岐へ行く船の上からでした。ボラのようにピョンと一瞬「跳ぶ」(跳ねる)ものとばかり思っていたら、羽根を広げて百メートルも「翔ぶ」のですね。ビックリしました。

 漢字の使い分けというのも大事なことですね。

          ◇

 次は、きょうの入選句を前句にして、付句は五七五の長句です。

 ご自身の句を前句に選ばれても、もちろん構いません。ただ、そうすると、どうしても付き過ぎになりがちなもの。ですから。思い切って「飛ぶ」(前句から離れる)よう、お心がけください。

              (島根大学名誉教授)

2018年5月24日 無断転載禁止

こども新聞