(111)三瓶小豆原埋没林(大田市三瓶町)

展示室内にそびえる巨木
壮大なタイムカプセル

 約4千年前、縄文時代の三瓶山の噴火によって埋もれた太古の森を現代に伝える三瓶小豆原埋没林(大田市三瓶町)。らせん階段を下りた先に高さ10メートル余りのスギの巨木などが当時のまま、直立状態で残る。2004年に国の天然記念物に指定された。

 三瓶小豆原埋没林は、三瓶山北麓の小豆原地区に位置する。スギに加え、トチノキ、ケヤキ、ムクロジなどが見つかっている。

 樹木が根を張った状態で地層に埋もれた「埋没林」は、全国で数十カ所が知られているが、大部分は根元付近が残るのみで、長い幹を残す林は世界的にも珍しいという。

 発見は、1983年の水田の区画整備工事にさかのぼる。ただ、当時は工事中に巨木が出てきたとはいえ、話題になることもなく、数年が経過。写真を目にした大田市の三瓶火山研究者、松井整司氏(故人)がその学術的価値を直感して独自に調査を行った。

 1998年、松井氏の研究成果を基に県が発掘調査を行ったところ、複数の立木が確認され、測定の結果、縄文時代の木々が地中に埋もれた埋没林だと判明した。当初の出現から15年が経過していた。

 県は2003年、展示棟を整備した埋没林公園を開設。現在は、公益財団法人しまね自然と環境財団が管理する。保存には随時、細心の注意を払っており、現在は地下水位を低下させるための井戸を設置する工事などが施設内で進む。

 県内外から歴史ファンや観光客が訪れる地底林は、まさに壮大なタイムカプセル。古代への「時間旅行」を体感できる。

2018年5月24日 無断転載禁止