紙上講演 早稲田大名誉教授 北川 正恭氏

地方に求められる抜本的な構造改革

  慣行打破し官民連携を

北川 正恭氏
 山陰中央新報社の島根政経懇話会300回記念例会が23日、松江市内であり、元三重県知事で早稲田大学名誉教授の北川正恭氏(73)が「地方に求められる抜本的な構造改革」と題して講演した。根強く残る中央集権的な政治・行政体制を地方から変える覚悟が必要だと訴えた。要旨は次の通り。

 2000年の地方分権一括法施行に伴い、(国の仕事を自治体に下請けさせる)「機関委任事務」の制度が廃止され、地方自治体は、執行部の提案を議会で議決すれば、国に影響されることなく、自治事務を自己決定できるようになった。だが、自己決定に欠かせない地方の自己責任文化(自責文化)が育っているとはいえない。

 地方自治体の首長や職員が経営資源を求めて陳情に上京する古い慣行が依然、重要視されている。こうした働きかけを続けても、例えば、島根では結果的に人口が減り続けている。今、固定観念を変えなければ、島根の明日はないだろう。

 現状を変えるには、しがらみを断ち「根本的に変える」という発想が欠かせない。縦割りの自治体組織に横ぐしを入れることに加え、官民の多様な立場が主体となる仕組みを設けるなど、抜本的な構造改革が必要だ。

 また、地方議会の役割も一層問われている。住民自治の主役は地方議会だ。執行部の追認組織ではなく、是々非々で議決・否決を判断し、けん制し合い、緊張感を生み出す「機関競争」が働かなければ、地方創生はおろか、地方自治は成り立たないだろう。

2018年5月24日 無断転載禁止