レッツ連歌スペシャル(要木木純)・5月31日付

(挿絵・Azu)
 今回の前句は、

 憎まれっ子がかわいがられて

でしたね。憎まれっ子世にはばかる。人に嫌われる、ひどいヤツが、しばしば成功してもてはやされているのを見ると、小心翼々と、恨みを買わないように生きてきた小市民は、内心穏やかというわけには参りません。

今どきは勉強できてもしょうがない

               (松江)山崎まるむ

結局はお金ですかとくだを巻き (益田)黒田ひかり

部下上司立場逆転どうしよう  (松江)本田  章

朝礼は成果成果の課長様    (江津)花田 美昭

友達の悪事を見つけご注進   (益田)大居 鴻平

退職金もらった上に天下り   (出雲)行長 好友

何でだろファン投票でトップ取る(松江)高木 酔子

 でもまあ、悪に強いは善にも強いと申しまして。

このごろは部下を引き連れボランティア

               (雲南)錦織 博子

別人となって世のため人のため (出雲)櫛井 伸幸

あの頃のワルが今では祭りの華

             (隠岐の島)大田 有子

 そのエネルギーが、これから役に立つ場合もあるでしょう。

次世代を生きぬく力見えかくれ (浜田)玉田 秀子

期待もし困りもしてる大人たち (益田)石田 三章

なかなかにいい面構えしてござる(松江)川津  蛙

 だから、昔の悪事はできるだけ忘れることにしようか。

大スター昔のことは語られず  (出雲)岩本ひろこ

スサノオがオロチ退治をしたあとは

            (兵庫・明石)折田 小枝

褒章にちょっぴり後ろめたさあり

               (浜田)勝田  艶

ヤンキーも今ではデイに通う日々(益田)石川アキオ

気が付けば明日は白寿の誕生日 (出雲)放ヒサユキ

 憎まれっ子は、生命力があって長生きしますね。そして、かつて迷惑をかけられた人たちもとうにいなくなり、恩讐(おんしゅう)のかなたに去ってしまいました。

 投稿する方々の年代によるのでしょうか、目の中に入れても痛くない、やんちゃな孫に対する愛情を詠む秀句もたくさん寄せられました。「かわいがられて」の部分に反応されたのでしょうか。

ばあちゃんはいまだに夢を捨てきれず

               (川本)高砂瀬喜美

ジジババの部屋から今日も笑い声(松江)澄川 克治

じいちゃんの小さい頃によう似とる

               (浜田)佐々木わこ

おじいちゃん長生きしてねと言いやがる

               (益田)吉川 洋子

 「言いやがる」に愛着と照れが隠されているのがいいですね。息子や娘に対しては、あんなに厳しかったのに、孫になると甘やかしてしまうのは、何とも不思議なことです。

 その他、付け方の面白かった句。

披露宴生涯初の誉め言葉    (出雲)吾郷 寿海

結婚を早感知する親心     (松江)田部はるみ

ひっかくわとびつくわかじるわうちのタマ

               (美郷)吉田 重美

光秀が大河の主役を張る時代  (出雲)野村たまえ

あこがれた人と名前がおんなじで(益田)山藤 律子

恋人のようにルパンを追う警部 (益田)可部 章二

害獣もジビエとなって舌鼓   (出雲)栗田  枝

遠足は二段重ねのむすび弁   (出雲)石飛 富夫

 いくつかの作品にかなり手を入れさせてもらいました。原案とかなり相違していますが、推敲(すいこう)して、自分でも思いもしなかった世界が開けて来るのも、連歌の楽しみ。また、選者の楽しみでもあります。ご容赦ください。

            (島根大学法文学部教授)

2018年5月31日 無断転載禁止

こども新聞