女子ログ 販売事始め

 少し前から新しい仕事を始めた。その業務の一つに、商品の販売がある。店では一つ一つ手作りの器や布製品などを扱っていて、それなりに値も張るので、お客さんはじっくり時間をかけて品定めする人が多い。

 そのため私は、「何かあればお声掛けください」とだけ告げて、あとはお客さんのペースで店内を見てもらっている。自分が客の立場だったら、そうしてほしいと思うからだ。

 先日、ある著名人がインスタグラムで、店員にあれこれ話し掛けられるのが苦手だと書いた投稿がちょっとした物議をかもしていた。一般の人から寄せられたコメントを読むと、賛否両論さまざまな意見があふれていた。

 共感する声が多くあった一方で、実際に販売に携わる人からは「店員に声を掛けられなかったというクレームもあるので難しい」とあった。これには驚いた。また、「数十年やっていても声を掛けるタイミングは悩む」ともあった。販売とは、客との絶妙な間合いを測る技術を必要とする仕事なのだ。

 商品の良さを伝えたい、買ってほしいという店員の思いは、客にとって迷惑なこともある。買い物は、手に入れたらどんなにすてきかと想像するだけでも楽しいし、満ち足りた気分にさせてくれる。まずは、そんな時間を共有する相手になることから始めたい。

 (出雲市・くるみ)

2018年6月8日 無断転載禁止