米子の裏辻さん 80代で自ら商標登録 回転焼き店「白寿庵」

回転焼を作る裏辻律男さん
 傘寿を過ぎて回転焼き店「白寿庵(はくじゅあん)」を開業した裏辻律男(のりお)さん(83)=鳥取県米子市上福原3丁目=が、出願作業を担う弁理士の手を借りず、個人で店名と店の印を商標登録した。知的財産の専門家によると、80代で自ら商標登録するのは珍しいという。裏辻さんは「手続きが難しかったが、諦めなくて良かった」と感慨に浸っている。

 松江市出身の裏辻さんは船乗りとして半世紀を海の上で過ごした。絵や木工が趣味で、2013年に米子市西福原3丁目に工房・白寿庵を構えた。99歳(白寿)まで、簡素ながらも落ち着いた場所(庵)でもの作りを手掛け、地域貢献しようとの思いを店名に込めた。白寿庵の印はキキョウの家紋にした。

 調理師免許を生かそうと、新たに16年10月に回転焼き店を始め、娘の道子さん(47)と切り盛りする。国産の粉やあんを用いた「回転焼」や、冷めても皮が硬くならない「卵白焼」が人気という。

 「思い入れのある店名を守りたい」と商標登録を考え、昨春に「自分でやろう」と決めた。

 県知財総合支援窓口によると、商標登録は、登録したい名が使われていないかを調べた上で、必要書類を特許庁に出す。一般的には出願者の半数が手続きを弁理士に依頼し、80代での登録作業はまれという。

 裏辻さんは、特許庁から何度も手続きの不備を指摘され「あまりに難しい」と心がなえかけた時もあった。だが「どんなに大変でも諦めないのが自分の性分」と思い直し、支援窓口の担当者に質問を重ねた。

 1年後の5月。食道がんの手術を終えたベッドの上で登録証を手にし「たいしたことをしたなと思った」という。助言した同センターの岩田克己さん(71)は「活躍は、多くの高齢者の励みになるのではないか」とたたえる。

 19年10月には洋画や木工品などを集めた個展を米子市内で開く。裏辻さんは「明日なすべきことは今日これをなすという精神で、100歳まで元気に頑張りたい」と笑顔を見せた。

2018年6月9日 無断転載禁止