紙上講演 フリージャーナリスト 福島 香織氏

習近平体制と日中外交の行方

  「長期独裁」野望明確に

福島 香織氏
 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が18、19の両日、浜田市と益田市であり、フリージャーナリストの福島香織氏(51)が「習近平体制と日中外交の行方」と題して講演した。2017年10月に2期目が始まった習近平指導部を分析し、独裁政権確立に向けた動きへの日本の対処法を探った。要旨は次の通り。

 中国指導部は胡錦濤前国家主席まで、事実上は改革開放のトウ小平体制が続いた。習近平氏は江沢民元国家主席と胡氏の権力闘争のはざまで、双方が「この人物なら」と妥協の産物で国家主席に選んだ。このため、習氏はコンプレックスが強く「反腐敗キャンペーン」を方便に激しい権力闘争を繰り広げている。最高幹部の政治局員をはじめ、失脚した官僚は150万人にも上るといわれている。

 17年10月の中国共産党第19回党大会では、最高指導部の政治局常務委員に後継候補の若手を入れなかった。さらに習近平思想を党規約に書き入れて、自身の権威付けに躍起となった。国家主席の任期を撤廃したことで、長期の独裁体制という野望が明確になった。

 党規約にある政治スローガンは「中華民族の偉大な復興」で、清朝時代の勢力を取り戻そうとしている。経済戦略で中国から欧州まで陸海の広域経済圏「一帯一路」を唱えるが、実際は中国の繁栄を中心にした経済・文化圏をまとめ上げようとするものだ。

 経済圏内には巨額の対中債務を抱える国がある。中国が債務の肩代わりに土地を取得し、軍事拠点化する懸念がある。習氏は、軍事力を増強して21世紀半ばまでに一流の軍隊の創設を目指している。人民解放軍は、台湾統一や釣魚島(尖閣諸島の中国名)と琉球奪還を近い将来起きる戦争として挙げて、平然と予算要求している。

 日本はどうしたら国を守れるのか、安全保障を議論すべきではないか。

2018年6月20日 無断転載禁止