住みたい街

 松江市にある島根大学付属中学校では総合学習の時間で「住みたいまちプロジェクト」に取り組んでいる。自分たちが住む街をいろんな角度から見つめることで生徒たちの社会参画の意識を高める狙い。市役所や病院、福祉施設など現場を体験するプログラムが組まれているが、その下準備をする授業をのぞいてみた▼教育や環境、福祉など分野ごとのグループに分かれ、生徒たちが議論している。いきなり現場を訪ねても何をしていいか分からない。どうすれば授業の目的を達成できるか、模造紙に記された調べ方のチャート(一覧表)を見ながら、まるで記者の取材手引を読むようだった▼まず目的を確認し、それに向けた課題の実態を予測しながら関連データを収集。数字、写真、画像をどう組み合わせれば効果的か。そして誰に何を聴けばよいかインタビュー相手を探す▼編集会議のような授業の素材は自分たちが住む街。いいところも悪いところも述べ合う。幼稚園に出掛けて自分たちが作った島根の良さをアピールする歌を披露したり、特産品を素材にした料理レシピをインターネットに投稿したりするなど島根にこだわる▼こうした体験の成果か昨年度3年生を対象に同校で調べたところ、将来島根に住みたいと答えた生徒は67%で体験前の46%から増えた▼「生徒の意向に沿って、教え方もその都度変えねばならず結構手ごわい授業」と指導に当たる椎木千鶴教諭。新人記者研修のような授業から将来島根にこだわる記者出(い)でよ。(前)

2018年6月23日 無断転載禁止