非核化と中国/世界全体の利益に配慮を

 中国の習近平国家主席は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と北京で会談し、史上初の米朝首脳会談で合意した朝鮮半島の非核化や和平プロセスの推進に向け、共に尽力していくことで一致、蜜月ぶりを誇示した。

 金氏訪中は3月以来3回目。金氏は今後本格化する対米交渉を前に中国という「強力な後ろ盾」をアピール、習氏には韓国、米国主導で始まった非核化・和平プロセスに積極的に関与したいとの思惑があるとみられる。

 北朝鮮と友好関係を持つ東アジアの大国中国は核問題の解決と半島の永続的な平和と安定の維持のため、米朝間、さらには日韓ロを加えた6カ国の調整役として前向きな作用を果たすべきだ。

 トランプ米大統領と金氏は会談で「新たな米朝関係の確立」「朝鮮半島の平和体制構築」を目指すことで合意し、金氏は「完全非核化に向けて努力する」と約束した。だが、非核化の具体的なプロセスや検証方法では合意に至らなかった。

 習氏は訪中したポンペオ米国務長官との会談で、米朝首脳会談の成果を「核問題の政治解決プロセスの重要な一歩」と高く評価する一方、「問題は複雑であり、順を追って漸進するプロセスが必要だ」と注文を付けた。

 米国は北朝鮮が完全な非核化を果たすまで制裁を維持する方針だが、中国は非核化へのステップごとに北朝鮮が見返りを得られる「段階的な措置」を支持。米国と中朝の立場は異なり、今後も曲折が予想される。

 北朝鮮は国策の重点を経済建設に移し、中国は支援を表明した。支援は北朝鮮に非核化回避や引き延ばしの逃げ場を与えるのではなく、非核化と国際社会との融和を促す効果を第一にすべきだ。

 かつて朝鮮戦争を共に戦った中朝両国は「血で固めた友誼(ゆうぎ)」を誇示していたが、北朝鮮の核・ミサイル開発によって関係は冷え込んだ。しかし今年に入って急速に関係を修復した。

 血盟関係は変質したとはいえ、中国にとって北朝鮮は米韓などから自国を守る「社会主義の擁壁」であることに変わりはない。米軍が北朝鮮ミサイルに対処するため高高度防衛ミサイル(THAAD)を韓国に配備した際、中国は自国軍もレーダーで監視されると強く反発した。

 習氏は「世界一流の軍隊づくり」を掲げ、米国に比肩する大国を目指す野心を持つ。周辺国と領有権を争う南シナ海の軍事拠点化を着々と進め、「航行の自由」を主張して周辺海域で軍艦を航行させる米国と対立する。

 中国は北朝鮮の核問題への関与に際し、米国との覇権争いを持ち込むべきではない。米朝の交渉が進展すれば、朝鮮戦争の休戦協定から平和協定への転換で中韓を加えた4カ国の枠組み、いずれは日ロを加えた6カ国の枠組みでの協議が必要となろう。

 中国は2003~08年に開かれた核問題の6カ国協議の議長国を務めた。協議は失敗し、北朝鮮の核・ミサイル開発を許したが、「朝鮮半島を非核化し平和と安定を守る」という目標は当時と変わらない。中国には、国益だけではなく、地域と世界全体の利益に配慮した積極的な関与を望みたい。

2018年6月24日 無断転載禁止