五輪ボランティア/人数が多過ぎないか

 2020年東京五輪・パラリンピックで活動するボランティアは、大会組織委員会が募集する8万人と、東京都が別に募集する3万人の合わせて11万人となる計画だ。

 組織委は今春、18歳以上とするボランティアの条件を適用しない、中高生向けの募集枠を設けることも決めた。サッカーやテニスのボール拾いや、バレーボールなどでコートに落ちた選手の汗を拭くモップかけを担当する中高生にとっては、きっと一生の思い出になるだろう。

 国際オリンピック委員会(IOC)によると、12年のロンドン大会では7万人のボランティアが活動した。前回リオデジャネイロ大会は5万人だった。なぜ、東京大会ではこんなにも多くのボランティアが必要なのだろう。

 組織委は観客や大会関係者を案内する係、競技運営をサポートする係、各国の選手団を直接支援する係、急病人などに対応する係など、担当を9項目に分ける。東京都の方は主に鉄道の駅や空港で、交通や観光の案内をするボランティアを募集する考えだ。

 組織委も東京都も案内を重視している。世界各国、全国各地から集まる五輪観戦客に、おもてなしの精神を発揮しようとの考えのようだ。しかし、本当にそのような手取り足取りの案内が求められているだろうか。

 見知らぬ土地に行っても、スマートフォンで目的地までの経路をたやすく見つけられる時代になった。観光地は今、どこもスマホ片手に、訪れたい名所や人気レストランなどを巡り歩く観光客でいっぱいだ。

 これは日本に限ったことではない。2年後に五輪を迎えるころには、スマホによるさまざまな情報の入手と案内はさらに進化し、便利になっている可能性もある。

 選手も審判も運営スタッフも、競技関係者のほとんどは五輪や大規模国際大会の経験者だ。案内など必要としないプロ集団とも言える。

 組織委は常々、ぜい肉をそぎ落としたスリムな運営と、革新的技術を取り入れた斬新な大会を目指すと強調している。

 なぜ、時代にそぐわない人海戦術による大規模ボランティア体制を整えようとするのだろう。整備すべきは、スマホで検索できる各競技会場への移動案内、会場周辺の進路案内ではないのか。

 一方で、組織委は大会中の選手と観客のスムーズな輸送のためには、特別な対策を整える必要があると強調する。それができなければ、首都高速道路の渋滞は現在の2倍となり、臨海部の鉄道は混雑のため観客らが乗り切れないことが予想されるという。

 大勢のボランティアが専用バスや公共交通機関で、活動役割を担う会場まで移動することになれば、首都圏の大会輸送網に対し、余計な負荷をかけることになってしまう。

 また、ボランティアには帽子、ウエア、靴などのユニホームセットが支給され、食事も提供される。これだけの規模になれば、それらの経費は大会全体の経費を膨らませることになるだろう。

 組織委は現在、IOCから約1千億円の大会運営予算の圧縮を要請されている。設立当初からの無駄を省く理念に立ち返り、ボランティアの規模の縮小を検討すべきだ。

2018年6月25日 無断転載禁止