問題多い議場の華

 火事とけんかは江戸の華。その火事現場で見られるやじ馬から転じた「やじ」は、議場の華と称される。無責任に騒ぎ立てるだけ。本来は聞こえが悪い蔑(さげす)みの言葉が、それでも議会で持ち上げられてきたのは、やじに思わずニヤリとするような機知に富んだ内容が多かったからだろう▼最近の国会でのやじは眉をひそめるかのような不適切な発言だらけ。沖縄での米軍のヘリコプター不時着をめぐって国会で「それで何人死んだんだ」とやじった当時の内閣府副大臣が引責辞任したのは1月のこと▼やじの中身どころか、今度は議員間で飛び交うはずのやじが参考人に向けられる異例の事態が起きた。受動喫煙対策の強化を審議していた衆院委員会で、答弁したがん患者団体の代表に、質問者ではない自民党議員が議員席から「いいかげんにしろ」とやじを飛ばした▼2度にわたってというから、ついうっかりではなく「確信犯」だろう。国会審議に協力しようと、体調がすぐれない中をおして出席したがん患者の思いを踏みにじる行為。議員として資質が問われる▼見境がないといえば、やじを発する側にも前代未聞のケースがあった。首相秘書官が首相に質問する野党議員にやじを飛ばしたのは4月。省庁から出向する秘書官は国会では首相答弁を手助けする黒子役で、明らかに役割を逸脱している▼政治の劣化や政権のたがの緩みばかりが感じられる国会のやじ騒動。言論の府をこれ以上おとしめたくないなら、議場の華は当面封印したほうがいい。(泰)

2018年6月26日 無断転載禁止