富山交番襲撃/対策強化し不安払拭を

 富山市の交番で男が警察官を刺し、奪った拳銃で近くの小学校正門前にいた建設会社の警備員に発砲した。警察官と警備員は死亡。男は小学校の敷地内で駆け付けた警察官に腹を撃たれ、身柄を確保された。校内には児童400人余りがおり、学校側は不審者対応マニュアルを参考に体育館に避難させ、教諭らが刺股などを手に警戒した。

 地域の安全と安心を託された交番で拳銃が奪われ、その銃口が市民に向けられた。一歩間違えば、子どもたちに危害が及んだ恐れもある。二度とあってはならないことだ。男はサバイバルナイフやダガーナイフのような刃物を所持。拳銃を狙い、計画的に交番を襲ったとみられている。

 警察庁によると、交番勤務などの警察官が拳銃を奪われる事件は2013年以降、富山事件の以前に6件起きており、今年4月に全国の警察本部に、警察官の拳銃は常に狙われているとの危機意識を持ち警戒を徹底するよう指示。路上や交番で不意に襲われることも想定し訓練を実施するよう求めたばかりだった。

 警察官の腰に拳銃をつなぐつりひもの強度を高めるなどの対策も取られてきた。しかし、それでも凶行を防ぐことはできなかった。容疑者の男の動機や襲撃の詳しい状況など事件の全容解明や交番勤務体制も含めた対策を強化し不安払拭(ふっしょく)を急いでもらいたい。

 「警察官等けん銃使用及び取扱い規範」は「制服を着用して勤務するときは、けん銃を携帯する」とし「けん銃入れに納めて帯革に付け、右腰に着装する」「安全止革を撃鉄に掛けボタンで留め、ふたのボタンを掛ける」などと細かく規定している。

 市民を守るための拳銃も、ひとたび悪意の第三者が手にすれば凶器となるため、厳重な管理下に置かれているが、警察官襲撃・拳銃強奪事件は何度も起きている。1982年10月、名古屋市で元消防士の男が愛知県警の警察官を車ではねて拳銃を奪い、殺人や強盗などを重ねた。83年に逮捕され、72年から計8人を殺害したとして00年に死刑が執行された。

 89年5月には東京都練馬区の派出所で、元自衛官の男が拳銃を奪おうとしてサバイバルナイフで警察官2人を刺殺した。最近も通報で現場に駆け付けた警察官が拳銃を奪われる事件などがあり、13年以降の6件のうち3件で発砲されている。

 富山事件を踏まえ、警察庁は銃の着装器具を改良し、警察官本人以外は拳銃を抜きにくくする再発防止策を検討している。20年ごろまでに改良する予定だったが、前倒しするという。ただ着装には常に奪われる危険がつきまとう。交番の勤務体制も検討課題だろう。

 今回の事件では、男が交番の裏口で最初に警察官を襲い、年配の交番相談員ともみ合いになった。全国には昨年4月現在で6256カ所の交番があり、一つの交番では通常2人から3人の警察官らが交代勤務している。事件事故への対処のほか、巡回や拾得物の処理などの業務もあり、退職者を相談員として再雇用しているが、人手不足が常態化しているという。

 交番で1人になることも多いとされ、最悪の事態も想定した体制の整備を進める必要がある。

2018年6月28日 無断転載禁止