世事抄録 ながら族60年

 無類の音楽好きで、全ての部屋に音楽装置がある。散歩時には必ずiPod(アイポッド)を携帯、入浴時も脱衣所のラジカセで音楽を流す。寝るときはラジオが朝まで付き合ってくれる。

 洋楽に目覚めた中学時代、音楽を聞きながら勉強する習慣が身についた。嫌な勉強も音楽があればはかどった。以来60年、何をするにも音楽を聞きながらする癖がつき、今日に至る。実際に能率アップに音楽が効くのか科学的根拠はないが、音楽を聞いている間、よい気分が持続するのは確かだ。

 先日、広島の次女の家を訪ねると、居間で勉強中の中学1年の孫がなかなか宿題を終えられず、母親である次女にしかられていた。しばらくして、孫がスマホでゲーム音楽をかけた。すると、それまでグズグズしていたのがたちどころに3日分の宿題を終えた。わがDNAを見た気がした。しかし、やかましい音楽だ。耐えられず別室に退避した。

 はたと気づく。自分は365日心地よく聞いている音楽も、妻にとってはほぼ雑音だろう。文句も言わずにいてくれる妻に感謝し、居住空間は自分のものだけではないのだと反省した。

 梅雨がきた。窓越しに緑の原に降る雨を眺め、好きな音楽を聞くのが至福の時だ。これからは音量に配慮しつつ、時にはコーヒータイムの語らい時などリクエストでも受け付けてみるか。

   (浜田市・清造)

2018年6月28日 無断転載禁止