誘致合戦のしこり今も

 鳥取県立美術館建設を巡り、鳥取市と県中部5市町の間で激化した誘致合戦のしこりがいまだに残っている。昨春に倉吉市への建設が決まって1年。選に漏れた鳥取市の市議の一人は「もう県は信用できない」と憤りを隠さない▼当初は鳥取市への建設が計画され、市がアクセス道の整備まで進めたが、片山善博前知事が計画を凍結。平井伸治知事が2015年の知事選で建設を掲げて、4カ所の候補地を示した上での県民アンケートの結果を踏まえ建設地を決めた▼経緯から無念さは容易に消し去れないのだろう。はしごを外された意趣返しとばかりに、来春の知事選に絡めて態度未定の平井知事を突き放すかのような声も市議会から伝わってくる▼建設地の倉吉市では鳥取市との対立を引きずる。先月末の市議会特別委員会では「東部との確執は終結していない」との異例の発言が出た。「入館者年間10万人の目標は必ず達成」と危機感をあおるのも、誘致時に鳥取市と集客効果で比較されたことを意識するからだ▼かつての地方区分だった因幡(鳥取県東部)と伯耆(県中部・西部)の対立構図が輪をかける。倉吉市への建設を推した米子市選出の県議の一人は、県庁所在地に建設すべきとの発想が鳥取市にあったと指摘した上で「その考え方がそもそもおかしい」と冷ややかだ▼このままでは美術館は因幡と伯耆の対立の象徴になってしまう。建設地のラグビー場にちなんで戦い終えたら仲間というノーサイドの精神で、とはいかないものか。(志)

2018年7月2日 無断転載禁止