メルカリ上場/若い起業家は奮起を

 フリーマーケットアプリを運営するメルカリ(東京)が東京証券取引所・新興市場マザーズに上場、大商いとなり時価総額は一時8千億円を超えた。これまでマザーズで首位だった会員制交流サイト(SNS)を手掛けるミクシィを軽々と抜き去り、今年最大の上場となった。その後も株価は堅調だ。

 ベンチャー企業1社の上場ではあるが、日本経済の今後を占う上で大きな意味を持つ株式公開になった。産業構造が大きく転換するきっかけになってほしい。

 若い起業家にはメルカリに続くよう奮起を求めたい。就職を控えた学生にも、ベンチャー企業には大きなチャンスがあることを訴えたい。ただ、アイデアや構想がいくら優れていても、事業を維持・発展させるために必要な資金がうまく調達できなければ、せっかくの可能性がつぶれてしまう恐れもある。投資資金がベンチャー企業に円滑に向かう仕組みが不可欠だ。官民挙げて知恵を絞ってほしい。

 メルカリが投資家の期待を集めたのは、日本の「ユニコーン」代表格として秘めている可能性だ。ユニコーンとは、企業価値が10億ドル(約1100億円)以上で急成長が望める未上場のIT系ベンチャー企業のことだ。希少価値が認められるベンチャー企業を神話上の一角獣になぞらえた言葉だ。

 ほとんどのユニコーンは米中両国に集中しているが、メルカリは日本発ながら、ユニークなビジネスモデルを生み出して人気を集め、世界中の投資家が注目していた。

 同社が提供するアプリは、スマートフォンを利用し、個人間で洋服や雑貨などさまざまな品物を売買できる。日米英で計1億回以上ダウンロードされ、年間売買総額は3千億円を超えた。

 これまでは洋服や雑貨は商店などで買うことが主流だった。知り合いの間でお古などの使い回しはあったが、それを安定した商取引としてシステム化し、個人間の中古品取引市場を確立した。

 日常生活の中で「あったら便利だなあ」と思われていた分野での新ビジネスだ。育ち盛りの子どもの衣類などはすぐに使えなくなる。スマホで簡単に中古品として売れるとなれば、その売却益を新しい衣類の購入に充てることができ、効率的に家計を回すことができる。不用品を再利用することで社会全体としても節約でき、環境にもプラスだ。

 メルカリは米アマゾン・コムやグーグルなどのテックジャイアント(巨大IT企業)を目標にしている。事業規模はこうした巨大企業と比べればまだ微々たるものだが、サービスの革新性や将来性は高く評価されている。上場で得た資金は米国などでの海外事業、人材採用、技術開発への投資に回す。まずは金融決済サービスの「メルペイ」を近く始める方針だ。

 2013年の創業から5年で上場にこぎ着けた。急成長だっただけに、盗難品や偽ブランド品の出品が相次ぐなど後手に回った点もあった。

 ベンチャー企業は創業時、若い経営者が全体を見ざるを得ない。それが長所でもあるが、経験豊富なベテランに基礎固めを手伝ってもらう手もある。大手企業の退職者などの活用もベンチャー発展の文脈の中で考えていきたい。

2018年7月2日 無断転載禁止