貫いた日本流

 サッカー元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は強豪国の模倣を嫌い、日本独自のスタイルの追求を貫いた。まねではオリジナルを超えられないと説き「考えて走るサッカー」を掲げた。「相手より5歩余計に走ればその5歩が既に勝利の5歩だ」。2007年に病に倒れ志半ばで退いたが、機知と示唆に富んだ語録は今も色あせていない▼3年前のラグビーW杯で、過去2度優勝の南アフリカを撃破する大番狂わせを演じたエディー・ジョーンズ前代表監督も日本人の特性を生かすよう提言した。チーム方針の「ジャパン・ウェイ」(日本流)は、オシム氏と軌を一にする▼寝不足の人も多かろう。サッカーのロシアW杯決勝トーナメントで、西野ジャパンが優勝候補のベルギーを追い詰めた。矢のようなカウンターで2点を先制。誰もが仲間のために走り、左右に振って攻撃を仕掛ける日本のスタイルを貫き通した▼米子北高校出身の昌子源選手も体を張って相手エースを封じた。試合後に大の字になり、両手で地面をたたきつけた悔しさは、必ず今後の糧となる▼大会前の「おっさん」や「忖度(そんたく)」との揶揄(やゆ)を推進力に変え、走力を生かした一体感と連動性で、個で劣るチームの戦い方を示したサムライブルー。次の4年は刻々と変わる世界の潮流に対応し日本流を柔軟に書き換える期間となる▼オシム氏は「やることをやってもし負けるのならば、胸を張って帰れる」とも言っている。未到の8強は次の楽しみとしよう。まずは23人を温かく迎えたい。(玉)

2018年7月4日 無断転載禁止