仕事みてある記 国有林や原野を守り育む「番人」

三瓶山の国有林内で木の幹を測る森林官の山本あゆみさん。「自然の中でいろいろな動植物を見られ、地域の人たちと交流できるのが仕事の魅力」と話す=大田市内
森林官

  山本 あゆみさん

    (大田市大田町)

 「森(しん)林(りん)官(かん)」は、国(こく)有(ゆう)林(りん)という国が持っている森や原(げん)野(や)を最前線の現(げん)場(ば)で守り、育てる国家公(こう)務(む)員(いん)。林(りん)野庁(やちょう)の出先機関である島根森林管(かん)理(り)署(しょ)(本署・松(まつ)江(え)市)大(おお)田(だ)森林事務所の森林官として、今年4月に転(てん)勤(きん)して来た山(やま)本(もと)あゆみさん(39)=大田市大田町=は、同市と出(いず)雲(も)市多(た)伎(き)、佐(さ)田(だ)両町内にある2316ヘクタールの森林の荒(こう)廃(はい)を防(ふせ)ぎ、豊(ゆた)かな森を育(はぐく)む「番(ばん)人(にん)」の仕事を1人で担(にな)っています。

 森を守ることは、質(しつ)の良い木材の生産や土(ど)砂(しゃ)災(さい)害(がい)の防(ぼう)止(し)、自然環(かん)境(きょう)保(ほ)護(ご)などにつながります。

 主な仕事は▽国有林内のパトロール▽樹(じゅ)木(もく)の成長を確(かく)認(にん)するため、木の直径や高さを計(けい)測(そく)。成長して混(こ)みすぎた木を切る間伐(かんばつ)をするために立木の状(じょう)況(きょう)を調べる「収(しゅう)穫(かく)調査(ちょうさ)」▽調査結果に基(もと)づく伐(ばっ)採(さい)や植林を適(てき)切(せつ)に実(じっ)施(し)するための監(かん)督(とく)▽調査結果や報(ほう)告(こく)書(しょ)の作成▽国有林に親しむイベントや森林教室の開(かい)催(さい)-など。

 山本さんが受け持つ区(く)域(いき)は、大(だい)山(せん)隠(お)岐(き)国立公園内の三(さん)瓶(べ)山(さん)(大田市)などで、総(そう)面積は東京ドームほぼ493個(こ)分です。

 山本さんは、晴れた日は山中で迷(まよ)わないようGPS(ジーピーエス)を首から提(さ)げ、現場の山に入ります。山から戻(もど)ると報告書作りなど事務作業をこなします。収穫調査では、「輪(りん)尺(じゃく)」という器具で木の直径を測(はか)ったり、木に目印となるテープを巻(ま)いたり。「5年ごとに森林計画を立て、次の5年で間伐する場所を決めるため情報(じょうほう)を集めるんです」と山本さん。

 パトロールも、土砂崩(くず)れや倒(とう)木(ぼく)による被(ひ)害(がい)がないか、林道が壊(こわ)れていないか、国有林と民有林の境界(きょうかい)を示(しめ)す標識(ひょうしき)が無くなっていないかなど。「木がウサギやシカ、クマに食べられたり、角こすりされ傷(きず)つけられたりしていないか、病害虫被(ひ)害(がい)がないかも調べます」

 また、「特別司(し)法(ほう)警(けい)察(さつ)員(いん)」として、盗(とう)伐(ばつ)や法(ほう)律(りつ)で禁(きん)じられた植物の採(さい)取(しゅ)、ごみの投げ捨(す)てなど国有林内で起きた犯(はん)罪(ざい)の容(よう)疑(ぎ)者(しゃ)を逮(たい)捕(ほ)、取り調べる権(けん)限(げん)を持っています。

 山本さんは、「大学の農学部で学んだことを生かし、人の役に立ちたい」と、林野庁に入りました。森林官について「何年も先の山の様子を考え、地(ち)域(いき)振(しん)興(こう)にもかかわる、やりがいのある仕事。今後は森林の動植物についてもっと詳(くわ)しくなりたい。また、森林の様子を見て、どれぐらいの量の丸太が生産できるのか分かるようになりたい」と話しました。

★メッセージ 

 森林官は、自分の希望通りなれるとは限(かぎ)りませんが、山の中で仕事ができ、いろいろな動植物や昆虫(こんちゅう)も見られる、自然が好きな人には何ものにもかえられない仕事です。国有林と接(せっ)する地元の人たちとの交流を通して、山の将来(しょうらい)を語り合う機会もあり、地域の振興にも寄(き)与(よ)できるところが仕事の魅力(みりょく)です。

2018年7月4日 無断転載禁止

こども新聞