(114)高津連理の松切り株(津和野町)

「津和野百景図」にも描かれた高津連理の松の切り株
夫婦仲取り持つ言い伝え

 刻まれた力強い年輪に、どこか温かみを感じる黒松の切り株。かつては、雌雄2株の枝がくっついた珍しい「夫婦松」として親しまれ、1934年には国の天然記念物にも指定された。津和野町の日本遺産の構成要素で、幕末の景観などを紹介した「津和野百景図」にも「高津浦連理の松」として描かれており、同町後田の町日本遺産センターで常設展示している。

 松は、かつて益田市高津5丁目の金刀比羅神社の境内にあり、樹高は約25メートル、樹齢は推定300年とされた。古くから同市の観光名所として知られていたが、病虫害により雌松が枯死。97年に伐採され、翌年には天然記念物指定も解除された。

 展示されている切り株は雌松のもので、伐採に立ち会った町民が希望し、譲り受けた。「百景図と縁深いものだから」との思いから同センターに貸与し、来場者に親しまれている。

 松には古くから「夫婦仲を取り持ってくれる」という言い伝えがあり、切り株を触って祈りをささげていく夫婦もいるという。同センターコンシェルジュの清水徳秀さん(67)は「昔から人々の祈りを一心に受け止めてきた木。ぜひ、切り株に触って当時の人々と思いを重ねてみてほしい」と話した。

2018年7月5日 無断転載禁止