文科省汚職/癒着の構造にメスを

 文部科学省の科学技術・学術政策局長が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。東京医科大側から私立大支援事業の対象校に選ぶよう頼まれ、見返りに今年2月の入学試験で点数の加算により自分の息子を合格させてもらったという。現金授受はなかったが、「合格者の地位」を与えられたことが賄賂に当たると判断された。

 教育行政を担い、大学入試の不正防止を指導してきた文科省で、あからさまな行政の私物化が明らかになり、また信頼が大きく揺らいでいる。昨年、人事課の職員やOBが関与した組織的な天下りあっせんで大量の処分者を出したばかりだ。

 逮捕された局長は当時の官房長として監督責任を問われ、文書厳重注意処分を受けた。その後、学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り「行政がゆがめられた」との疑惑に火が付き、文科省は対応に追われた。そうした中で、息子を合格させるという私利私欲から汚職に手を染めた。公務員としての誇りや使命感はかけらも見られない。

 少子化で厳しい競争にさらされる私大と、私学助成などの権限を握る文科省との癒着の構造は天下り問題でも指摘されたが、きちんと解明されずに終わっている。これを放置したままでは、信頼を取り戻すことはできないだろう。

 問題の支援事業は2016年度に始まった。全国の私大から大学の看板となる研究の計画書が提出され、学識経験者の審査を経て対象校に選ばれると、文科省が研究費用を助成する。東京医科大は16年度は落選したが、17年度に選ばれ、1年分の助成金3500万円の交付を受けた。医科大側は選定を確実にするため、局長に便宜供与を依頼したとみられている。

 少子化が進む中、大学の数は増え、私大はどこも経営は苦しい。支援事業も含め、予算と権限を持つ文科省とのパイプを確保しようと、しのぎを削る。天下り問題も、大学の許認可や補助金の配分などを担当する高等教育局の元局長が退職後に早稲田大の教授に迎えられたことをきっかけに調査が始まり、違法な再就職が次々と出てきた。

 印象的だったのは、釈明の記者会見に臨んだ早大総長が「今後は文科省関係者お断りと言い切る自信はない」と述べたことだ。大学側がメリットを期待したり、機嫌を損ねまいとしたりして文科省からの天下りを受け入れ、文科省の側もごく当たり前のようにあっせんを繰り返すという癒着の構造がうかがわれた。

 文科省は昨年3月に最終報告をまとめ、人事課職員やOBらが関与した国家公務員法違反計62件を確認したと公表。前川喜平前事務次官ら歴代事務次官3人を停職相当とするなど累計43人を処分した。ただ最終報告は天下り受け入れの見返りとして補助金配分で手心を加えるなど有利な取り計らいがなかったか、までは踏み込まなかった。

 今回の事件では、東京医科大トップの理事長が受託収賄ほう助容疑で逮捕された医療コンサルティング会社元役員を通じて知り合った局長側に便宜供与を頼み、入試の不正にまで関わっていた疑いも指摘されている。癒着の根は深い。そこにメスを入れない限り、文科省の組織立て直しは難しいだろう。

2018年7月6日 無断転載禁止