山陰両県で書道、水墨画人口減少 高齢化やパソコン普及で

筆を手に半紙に向かう子どもたち=出雲市斐川町富村、日本習字西野教室
 山陰両県で書や水墨画をたしなむ人が減っている。会員の高齢化に加え、パソコンなどの普及で筆を手にする機会が少なくなったのが原因とみられ、書道団体の一部は、この20年間で会員数が半減した。関係者は、書道では珍しい和紙を用いた新機軸の作品に取り組んだり、子どもの居場所づくりとして教室を開放したりするなどし、裾野の拡大に躍起となっている。

 「書き初めで人を集めるのが一苦労だ」。鳥取県書道連合会の柴山抱海会長(76)は話す。20年ほど前に1200人を超えた会員は約600人に減った。

 島根書道会も約400人から約170人になった。室下景雲理事長(71)は「70代が主体で60代でも若いくらい」とし、手書きの機会の減少や、習い事の多様化などが背景にあると推測する。

 危機感を抱き、4月に松江市で開いた書道展では出雲民芸紙を使った作品群を初展示した。室下さんは「書道で和紙はあまり使わないが、新たな可能性が見つかり、評判も非常によかった。先細りにならないよう、今後も常に新しい事業を考えたい」と前を向く。

 会員数が約60人に半減した山陰水墨画協会は5月、松江市で開かれた初の体験会で技法のイロハを紹介した。魅力に触れた参加者1人の入会が決まり、米村平(はかる)事務局長(74)は「うれしい限りだ」と声を弾ませる。

 出雲市内では、放課後の居場所づくりを考えた運営で、生徒を増やしている書道教室がある。共働き世帯のニーズに応えるため、午後6時ごろまで教室を開放。毛筆四段の市立西野小学校5年の石田蒼依さん(11)は「習字を勉強した後は友だちと学校の宿題をしている」とする。

 「子どもを家でひとりにするのは不安。プラスアルファの対応が喜ばれていると思う」と話すのは、日本習字西野教室(出雲市斐川町富村)を主宰する今岡宝泉さん(51)。松江市内に3カ所目の教室を開設するなど規模を広げており「書は日常を忘れて没頭できるのが魅力。良さを広めたい」と力を込める。伝統文化を後世に伝えようと関係者の模索は続く。

2018年7月8日 無断転載禁止