中国地方の土砂災害

 まとまった雨が降ると、まず気にかけるのは家の裏山というのが、平地の少ない地域での習性だろう。それが記録的な雨量で視界の利かない深夜や未明の時間帯となると、小石の落下といった経験則を避難に生かしようがないということか▼大雨被害が中国地方では広島県など山陽側に集中した。テレビを見る限り、山間部や背後が急傾斜の海岸部集落で土砂が崩れ建物をのみ込んでいる。恐れていた土砂災害がまた発生した。今は犠牲者の冥福と不明者の早期救出を祈るばかりだ▼中国地方で土砂災害がこうも繰り返されるのは、花こう岩の風化によってでき、水を含むと崩れやすい「マサ土」と呼ばれる地質が地表層に広がるため。4年前の広島市郊外の住宅街が土砂に押しつぶされた災害も地質が一因。あの発生も未明だった▼土砂災害の歴史は同様にマサ土層に覆われている島根県も同じ。1980年代の2度の県西部豪雨では多数の犠牲者が出た。この時期は梅雨前線の動き次第で、中国山地を挟んでどこに雨が襲いかかるか分からない。今回の災害を対岸の火事と見過ごすことはできない▼大雨となれば川だけでなく山への警戒が怠れない中国地方。砂防ダムなど防災設備の整備は対象範囲が広くて追い付かない。ならば、住民への危険性周知といったソフト面から対策を徹底すべきだ▼異常気象はこれからも続くだろう。雨にもろい大地に暮らしているという意識を住民と行政で共有し早期避難につなげるか。災禍が課題をまた突き付けた。(泰)

2018年7月9日 無断転載禁止