一過性では済まない

 被災地に照り続ける暑い夏の日差しが、変わり果てた街の姿を映し出す。5日から続いた活発な梅雨前線による西日本豪雨は、各地に大きな爪痕を残し、時間の経過とともに犠牲者の数が無情に動く▼一時、鳥取など11府県に出ていた「数十年に1度」の大雨特別警報は全て解除されたが、被災地ではまだ懸命な捜索や救助が続いている。一人でも多くの人が家族と無事に再会できるよう祈るばかりだ▼土砂に押し流された住宅や散乱する木材、濁水と土砂で一面茶色に覆われた街。テレビが映す各地の様子からは、その被害の甚大さや深刻さが伝わる。避難所で肉親やわが家の状況を案じながら過ごす被災者の表情からは疲労の色がうかがえる▼今回の豪雨は、これまでに経験したことがないくらい長い時間、しかも広域的に襲った。避難指示・勧告は一時、鳥取市の20万人近くなど、全国23府県860万人余りに達し、島根県内でも江の川流域が浸水被害に見舞われた▼被災地では、これから炎天下での後片付けや復旧が動きだす。一方で、身内を突然、奪われた悲しみは容易に癒えない。濁流や土砂に襲われた恐怖の記憶も心の傷になる恐れがある。元の生活を取り戻すには時間がかかる▼日本では昔から怖いものの例に「地震・雷・火事・親父(おやじ)」を挙げ、自然災害をとかく一過性と捉えがちだった。しかし、復旧までの長い時間を考えると一過性では済まない。周囲の支援も同じだ。被災地に今、一番必要なものは何か。目を凝らしたい。(己)

2018年7月10日 無断転載禁止