「おっさん」の底力

 先日、ドキッとするようなキャッチコピーの新聞広告を読んだ。「さよなら、おっさん。」。スマートフォンなどを通じたソーシャルメディアで経済情報を提供する企業の広告で、かなり挑発的だ▼ただ、ここで言う「おっさん」とは中年男性のことではなく、この国の凝り固まった価値観やルールを指すという。世の中の変化を受け入れない、能書きを並べて言い訳ばかり、試そうとはせずにすぐ「できない」と言う…▼そんな「おっさん」に負けないため、今知るべき情報でこの国をアップデート(更新)すべきだと訴える。狙いは分かるが、わざわざ「おっさん」に例えなくても-。中年世代には抵抗感を覚える人が多いだろう▼そんなご同輩の留飲を下げたのが、サッカーW杯の日本代表の活躍ではないか。30歳を超えたベテラン選手が多く、開幕前は「おっさんジャパン」と揶揄(やゆ)されたが、経験豊富なベテランが躍動。優勝候補のベルギーをあと一歩まで追い詰めた▼「前回のブラジル大会で味わった悔しさを持ってやってきた」。34歳の長谷部誠主将は帰国後の記者会見でこう振り返った。期待が大きかった4年前は1分け2敗で1次リーグ敗退。その悔しさが原動力となり、今回の躍進につながった▼代表引退を表明した長谷部選手は、今回の悔しさを糧に「4年後のカタールでさらに上に行ってほしい」と若手の奮起を促した。前評判の低さを覆したと同時に次回への期待を抱かせた日本代表。「おっさん」の底力は捨てたものではない。(健)

2018年7月12日 無断転載禁止