19年度概算要求基準/消費増税対策に知恵絞れ

 2019年度予算案は骨格となる概算要求基準が閣議了解され、編成作業がスタートした。各省庁は8月末までに経費要求し、財務省が内容を査定、年末に決定するスケジュールだ。100兆円超の要求額が見込まれるが、内外に山積する政策課題に的確に対応しながら、財政再建への足掛かりも確保する堅実な予算編成を求めたい。

 19年度は財政運営上、極めて重要な年となる。10月に消費税率が10%に引き上げられ、歳入構造が一定程度強化されるためだ。これによる新たな歳入は、一部は教育無償化などに充てられるものの、社会保障の充実や財政赤字削減のための貴重な財源となる。この効果を減殺するような歳出は避けるべきだろう。

 懸念されるのは、消費税増税に伴う景気対策が膨張してしまう事態だ。政府は「予算編成過程で検討する」とし、規模を定めていない。

 19年は統一地方選、参院選があり、与党側から大型の景気対策を求める圧力が強まる可能性は高い。

 14年4月に税率を8%に引き上げた際は消費が急激に冷え込み、景気が一時的に減速した。こうした事態を防ぐために、事前に対策を検討することは有用だが、できる限り財政負担を生じさせない方策に知恵を絞るべきだ。

 増税の前に駆け込み需要が発生し、その反動で増税後に需要が減退するのは、消費者が、価格が高くなる前に買っておこうとするからだ。こうした消費者心理を小売店側が「今買った方がお得」などとあおることで、駆け込み需要が拡大する傾向が指摘されている。

 販売戦略は各業者の知恵の出しどころで規制することはできない。ただ、増税後に消費者負担が極端に増えないように、商品購買に伴う税制優遇や補助拡充などを整備すれば、増税前後の需要が一定程度平準化される効果が見込める。この観点から、一定の財政出動については必要性を否定しないが、所要額はおのずから限られるだろう。

 対策の対象とする商品、規模などは厳しく精査し、選挙対策としての野放図な拡大要求は受け入れてはならない。

 成長戦略や人材投資などの政策については、一般政策経費とは分離し、別枠を設け優遇する。各省庁には既存の経費を削減した分の3倍の計上を認めるという。めりはりを付けるのはいいが、これまでと変わらない政策が看板だけを変えて、予算が水膨れする例は過去にもあった。趣旨から逸脱した要求は退け、真に効果が期待できる政策に手厚くしなければならない。

 歳出改革の焦点は社会保障費だ。一般歳出の3割を占め、高齢化に伴い加速度的に増え続ける構造は、制度の持続性の面から放置できないことは言うまでもない。制度への信頼が失われたままでは将来不安から消費に下押し圧力がかかり経済成長が阻害されかねない。

 ところが19年度は、これまで設けてきた増額上限の数値目標を見送っている。財務省は6千億円までの増額要求を認めた上でそこから圧縮する方針だが、必要性や政策効果などを見極める査定が甘くならないようにしなければならない。間もなく団塊世代が後期高齢者入りする。安定した制度の確立を急ぎたい。

2018年7月12日 無断転載禁止