アキのKEIルポ 記録を意識せず 今季目標に前進

 ウィンブルドン選手権は、やはり四大大会の中でも特別であると、この地を訪れる度に思い知らされる。今年で150年を迎える“オールドイングランド・ローン&クローケークラブ”の伝統は、時にテニス界の常識を打ち破る威光を放つ。多くの選手がここでの成功を望む(あるいは忌避する)のも、そのあたりに理由があるだろう。

 錦織は今年、その栄光のウィンブルドンで初めてベスト8入りした。だが、準々決勝でジョコビッチに敗れた彼は、次のような印象的な言葉を残している。

 「ベスト8は当たり前というか、そんなに思いはない」

 彼にとってはどこでやろうが、テニスはあくまで、テニスである。自身初のベスト8であることも、日本人男子にとって23年ぶりという記録や歴史も、さしたる意味を持ちはしない。12連敗中の宿敵に、また敗れたこと―。その現実だけが、彼の胸中をしめていた。

 さらに錦織は今季の目標を、年間上位8選手のみが出場できるツアー最終戦だとも明言した。そのゴールを目指し「この結果をバネに、食い込めるところまで行きたいです」と彼は言う。そう…伝統と格式のウィンブルドンも、彼にとっては「バネ」にすぎない。この言葉が聞けたことが、大きな喜びであり希望だった。

 (フリーライター・内田暁)

 =おわり=

2018年7月13日 無断転載禁止