米中貿易戦争

 米中もし戦わばという剣呑(けんのん)なタイトルの本が書店に置かれていた。著者は米国のナバロ大統領補佐官。通商政策を担当し、トランプ政権では名うての対中脅威論者らしい。米国と中国の軍事衝突のリスクを地政学的に分析した本の内容は、日本の安全保障とも無縁ではない▼こちらは既に米中戦えり。世界経済ナンバー1とナンバー2が貿易を巡って角を突き合わせ、とばっちりがいつ飛んでくるか、日本を含む周囲をはらはらさせている▼輸入品に高い関税をかけて国内で売りにくくし、自国の産業を守ろうとするトランプ流の保護主義。そのスタイルは単純明快だが、「口撃」先行でどこまで本気なのかと半信半疑だったところへ、中国を狙い撃ちするような追加関税の嵐▼中国も黙っておらず報復関税で応酬するが、お互いがむきになればなるほど世界貿易は縮こまり、みんなが迷惑する。そんなことにはお構いなしに、取りあえず秋の中間選挙までに貿易赤字削減の実績を示したいトランプ流自分ファースト▼しかし根はもっと深い。貿易戦争の引き金となったのは、中国による知的財産権侵害だが、どんな手口を使って技術を移転させているのか。先端技術を巡る米中覇権争いは、外からは見えにくいだけに表面的なルールでは規制が難しい▼日本にとってやっかいなのは、製造業の国際分業が複雑化し、米中どちらが勝っても負けてもその影響はスパゲティボウルのようにこんがらがるからである。経済ナンバー3の立場が落ち着かない。(前)

2018年7月15日 無断転載禁止