女性自認受け入れ/多様性許容する社会に

 お茶の水女子大が、戸籍上は男性でも自身の性別を女性と認識しているトランスジェンダーの学生を2020年度から受け入れる方針を発表した。性の多様な在り方を尊重する社会の動きを反映した取り組みと言えよう。

 米国の女子大でトランスジェンダー学生の受け入れ例はあるが、文部科学省によると、国内の女子大で受け入れを決めたのはお茶の水女子大が初めて。これまで「女子」としていた入試の出願資格を「戸籍または性自認が女子」と改める。入試に当たり、学生に事前に申し出てもらい、大学側が出願資格を確認するが、具体的方法は今後検討するという。

 東京女子大、日本女子大、津田塾大、奈良女子大などでもトランスジェンダーの学生受け入れを検討中だ。

 同性愛のレズビアンとゲイ、両性愛のバイセクシュアル、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの頭文字を取ったLGBTという言葉は日本社会に浸透してきた。15年に電通が20~59歳の約7万人を対象に実施した調査では、LGBTを含む性的少数者の割合は7.6%。13人に1人が該当した。

 自治体や企業が同性カップルを結婚に相当するパートナーとして認める取り組みを進め、お茶の水女子大に限らず、性的少数者への支援に取り組む大学も増えている。

 早稲田大は17年4月、性的少数者の学生支援を主眼とした「GS(ジェンダー・セクシュアリティ)センター」を開設した。専任職員が常駐し、書籍やイベント情報が並ぶ。学生や支援者らが自由に利用でき、プライバシーが保てる相談窓口を設置している。教員に対し「授業で異性愛者しかいない前提で話をしないように」などの通知も出している。

 17年度の利用者は約千人、相談した学生は延べ約100人に上った。トランスジェンダーの学生からは「戸籍と違う氏名を使うにはどうすればよいか」などの相談が寄せられたという。

 先進的な取り組みで知られる筑波大では今年3月、性的少数者への対応に関する指針を改訂した。LGBTなどであることをカミングアウトした後、それを意に反して第三者に暴露された場合、「自死(自殺)といった最悪の結果を招きかねない」として、「ハラスメントとして対処する」と明記した。

 お茶の水女子大によると、入学後に学生が利用する施設整備などの準備にも着手する。トランスジェンダーと一口に言っても、人によって体の事情などは異なり、個人に即した対応が必要だろう。

 国連の人権担当者は最近、日本の性的少数者が置かれている状況について「先進7カ国(G7)の中で法的にも社会的にも後れを取っている」と指摘した。諸外国では同性婚を合法化したり、LGBTなどを理由とした差別を禁じる法律を制定したりしている例もある。

 日本でも、LGBTの言葉だけが独り歩きするのでなく、基本的人権の尊重に関わる問題だとの認識が必要だ。筑波大の指針は「人材や環境の多様性こそがイノベーションの源泉」と強調している。「違った個」を許容してこそ活力ある社会が実現するということだろう。

2018年7月17日 無断転載禁止