お別れ展示

 鳥取県北栄町が所蔵する民具資料約2200点を整理し、不要と判断した約470点の「お別れ展示」を始めた。いきなり廃棄ではなく、公開して活用希望者に譲る工夫がみそだ。県ミュージアム・ネットワークによると、手付かずのまま物置に眠る例もある中で参考になる試みという▼税の滞納者から差し押さえた品の場合、インターネット公売で換金する手法がある。だが、文化的な資料で寄贈品を含むとなると、お金のやりとりが絡むのは人情として忍びない▼お別れ展示は先人の生活を支えた民具や寄贈者に感謝を示す粋な計らい。その上で引き取り手がなければ、廃棄しても住民の理解は得られるのではないか▼古い物には興味をそそられる。お別れ展示には学校教材の絵図、おひなさまが描かれた掛け軸など気になる品もあった。以前に不要な蔵書を希望者に譲る公立図書館の古本市で、旧ソ連大使館の広報誌など掘り出し物を入手したことがある▼役所の物置に眠る品物も人によっては宝の山。年季の入った事務機器や寄贈を受けて展示しきれない絵画があると聞いた。警察署の裏に古い交通標識、廃校舎に鳥のはく製があるのも見た。換金の仲介を申し出て一蹴された▼北栄町のような試みが広がると面白い。換金にも譲渡にも抵抗があるのなら、せめて「蔵出し展示」と銘打ち物置を公開してはどうか。ホールや水族館の舞台裏見学のようにイベント仕立てにしたらいい。多くの目に触れれば、新しい価値が見いだされるかもしれない。(志)

2018年7月19日 無断転載禁止