紙上講演 富士通常務理事 中山 五輪男氏

人工知能(AI)と新時代~どう変わる生活、ビジネス

  導入にはビジョン大切

中山 五輪男氏
 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が18、19の両日、松江、米子両市内であり、富士通(東京都港区)常務理事の中山五輪男氏(54)が「人工知能(AI)と新時代~どう変わる生活、ビジネス」と題して講演した。人類の生活を激変させる可能性があるAIの活用に向け、企業にまず求められるのはAIを取り入れた先の経営ビジョンだと強調した。要旨は次の通り。

 人類は産業革命や情報技術革命など数々の革命を経験してきたが、近い将来、最大のパラダイムシフト(発想の転換)を経験するだろう。人工知能が人類を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)で、後戻りできないほど人間の生活が変容する可能性がある。

 米検索大手グーグルのAI開発総指揮官、レイ・カーツワイル氏は著書で数々の予言をしている。2020年代にAIの知性が教育を受けた人間と同等になり、高分子化学を駆使した「ナノマシン」技術が医療分野で実用化され、20年代後半には仮想現実(VR)が現実と区別ができないほど高品質になり、買い物や旅行の概念を変える、と。

 今後、AIは日本社会に不可欠な存在になる。急速に進む少子高齢化や人口減少に伴い深刻化する空き家問題、そうした諸問題の解決に向け、AIに対するニーズは高まる。実際、ある企業の調査で、回答者の約9割がAIで仕事の省力化が図られると期待し、営業や製造の業務に導入したいとしている。

 ただ、AIを取り入れる上で、企業にはまず、自分たちがどういう形で社会に貢献したいのか、といったビジョンの構築が欠かせない。モノありきで考え、AI導入に失敗した企業は数え切れない。もし、将来像の延長線上にAI導入が見えなければ、AIを取り入れる必要はない。

 ビジョン構築とともに重要なキーワードは、異業種間交流で得られた知見を商品開発などに生かす「オープンイノベーション」。時代の変化に対応するのは、企業連携で創造した知恵を活用できる企業だろう。

2018年7月20日 無断転載禁止