6増のジミマンダー

 特定の政党や候補に有利になるよう恣意(しい)的に選挙区割りを線引きして、結果的にいびつな形になることを「ゲリマンダー」という。区割りをした米国の州知事の名前と、選挙区の形が伝説上のトカゲ・サラマンダーに似ていたことから生まれた造語▼日本では1956年に鳩山一郎内閣が中選挙区だった衆院選に小選挙区制の導入をもくろんだ法案が「ハトマンダー」と批判を浴びた。旧社会党が強い地域に特例的に2人区を設けたり、飛び地が6選挙区もあったりと、不自然さが指摘されたからだ。結局は廃案の憂き目に遭った▼選挙制度が利害を絡めると複雑化するのは今回も同じ。参院の総定数6増。批判の的は比例代表に取り入れた拘束名簿式の特定枠だ。区割り変更ではないが、救済狙いの自民党を皮肉りたかったのだろう。一部野党が「ジミマンダー」と称した▼特定枠は、前回から改選数が実質1減の「鳥取・島根」「徳島・高知」の2合区への党内的な配慮なのだろうが、そもそも合区の導入に無理があったと思えてならない▼3年ごとに全体の半数が審判を仰ぐ参院選では、選挙区改選数は衆院選小選挙区の4分の1程度。さらに、この先も避けられないのが地方の人口減少。1票の格差の是正は小手先で繕ってみても限界がある▼合区維持なら対象県は増え続け、今回の対応に沿えば特定枠と総定数も増加の一途だ。それで選挙制度は持ちこたえられるのか。一時しのぎの策で民主主義の根幹をむしばむのは、もう終わりにしたい。(泰)

2018年7月21日 無断転載禁止