通常国会閉幕/存在意義が問われている

 通常国会が事実上閉幕した。182日間から浮かび上がってきたのは、改ざん、虚偽、隠蔽(いんぺい)に、はぐらかし答弁…。不備があったり、世論調査などで慎重・反対論が多くても、政府、与党が決めた法案を数の力で通していく。これが「言論の府」の実像でいいのだろうか。

 言うまでもなく、立法府の主要な役割の一つが行政府の監視だ。ところが、政府は国会を欺き、国会は政府に十分な説明をさせることもできないまま機能不全が進行した。三権分立が揺らぎ、国権の最高機関の存在意義が喪失しかねない危機と言えよう。

 振り返れば、歴史に禍根を残す出来事が続出した。森友学園問題では、財務省の公文書改ざんという民主主義を脅かす極めて重大な事態が発覚。加計学園問題でも、安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学園に対して、首相秘書官らが国家戦略特区の申請前に”指導”していたことを示す文書が愛媛県から見つかった。政治や行政の公平・公正・信頼性に明らかな疑義が生じたのである。

 しかし安倍首相は「丁寧な説明」を繰り返すものの、野党の追及に真正面から向き合おうとしない。与党も関係者の国会招致を拒み、疑惑は払拭(ふっしょく)されるどころか膨らんだ。あってはならない公文書改ざんでも、監督する政治家は責任を取らなかった。

 森友学園になぜ破格の値引きで国有地を売却したのか、公文書を改ざんした理由は何なのか、加計ありきではなかったのか、など問題の核心部分は依然として解明されていない。

 長期政権の「おごり」も際立つ。民主主義の土台である選挙制度を巡っては、自民党が合区選挙区の現職議員の救済目的が明らかな党利党略むき出しの参院定数6増案を強引に成立させた。

 共同通信の世論調査で7割近くが今国会の成立に慎重論を示していたカジノを含む統合型リゾート(IR)整備法の成立も強行突破。担当の石井啓一国土交通相は西日本豪雨の対応の陣頭指揮を執るべき場面で、IR法の審議に張り付いた。ギャンブル依存症対策の詳細な仕組みをはじめ331項目が、国会審議の不要な政省令などに委ねている以上、疑問解消のために十分論議を尽くす必要があった。

 この国会の看板でもあった働き方改革関連法は、不適切データが表面化し、裁量労働制の対象拡大は削除に追い込まれた。高度プロフェッショナル制度の創設でも、ずさんなヒアリングが判明したが、押し切った。

 こうした中、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長らが国会改革の提言をまとめ、超党派の会議も発足した。党首討論の頻度を増やして定例化、スキャンダル解明は特別調査会、法案・政策審議は各委員会と”車線”を分けることなどが柱だ。

 検討に値する内容だが、どんなに制度をいじっても、政府に真摯(しんし)に説明する気がなければ、また与党がそれを許すならば、何も変わらない。政府に説明責任を果たさせるのが改革の大前提。与党議員もこの1年余り、だまされていたのである。まず与野党が閉会中審査を利用して森友、加計両問題の解明を実践すべきだろう。国会の存在意義が問われている。

2018年7月21日 無断転載禁止