引き継がれる花火の風景

 花火の季節がやって来た。夜空を彩る大輪の花は老若男女を魅了する。打ち上げ花火の最も古い記憶といったら、小学生の時に松江市鹿島町の恵曇港で見たものだ▼松江水郷祭などに比べれば一つ一つは小さいが、距離が近かったので迫力は負けていなかった気がする。終了に合わせて防波堤に「原子力」の文字が浮かび上がったのを覚えている。原発所在地の土地柄と時代だろう。もう40年くらい前のこと▼水郷祭で宍道湖上に咲く大輪は最も大きなもので直径300メートルもある。ハートや星などユニークな形の花火は平面に広がるため、見る角度によっては意図した図柄に見えない場合もある、出たとこ勝負の花火。打ち上げる側も気が気じゃないそうだ。先日の本紙に掲載した花火特集で知った▼華やかな打ち上げ花火と対照的なのは、「てぼたん」の愛称で親しんでいた線香花火。手元で火花がボタンの花のように飛び交い、最後は火の玉となって落ちる姿は、美しくはかない。こちらも捨てがたい魅力がある▼これから各地で催される花火大会は、夏の一大イベント。水郷祭の人出は1日開催となってから30万人を超えるという。これだけ多くの人が同時に楽しめるエンターテインメントはそうはない▼この季節に紙面に載る「途絶えていた花火大会復活」といった記事からは花火への地域の思いが伝わる。次世代に古里の原風景として引き継がれてほしい夏の風物詩。夜のイベントとはいえ、連日の猛暑である。暑さ対策だけは忘れずに満喫を。(輔)

2018年7月26日 無断転載禁止