民主主義のヌケガラ

 「神は細部に宿る」というが、肝心の仕上がり具合が見えない法律が相次ぐ。働き方改革に続きカジノを整備することが決まった。弊害が懸念される部分は、また政省令などに委ねられた。丁寧な国会審議が尽くされたとは思えない▼首相が強調する「健全なカジノ事業」では、土壇場で事業者による貸付制度が盛り込まれた。賭場で負けて持ち金がなくなった客に胴元が融通する時代劇さながらの仕組みだ。一定の預託金を納めておけば、無利息で2カ月間借りられる▼ただし期限を過ぎると年14.6%の延滞金が発生。その取り立てを第三者に委託できる。国内のギャンブルでは初めての仕組みだが、預託金の額や借りられる限度などの詳細は、法律には書き込まれなかった▼「博打(ばくち)の負けは博打で」という心理が働けば、「今度こそ」と熱くなり、ずるずると深みにはまる恐れがある。半面、大負けする客が増えるほど事業者と、その分け前が入る国や自治体は潤うのだろうか▼働き方改革の高度プロフェッショナル制度も、対象となる業務や具体的な年収基準の線引きなど詳細はこれから。細部に潜んでいる意図が、働く側ではなく、企業側にとっての神なら、今後「働かせ方改革」になりかねない▼十分話し合って良い案を探さず、さっさと多数決で決める風潮を、5月に亡くなった絵本作家の加古里子さんは「民主主義のヌケガラ」と危惧していた。政治家にこそ加古さんの『こどものとうひょう おとなのせんきょ』を読んでほしい。(己)

2018年7月28日 無断転載禁止