思い出の大切な器 修復 若き女性金継ぎ師 出雲の新宮さん

漆の塗り具合を確かめる新宮由佳子さん=出雲市内
 破損した器を漆で継ぎ、金や銀で化粧して繕う「金継(きんつ)ぎ師guu(グウ).」の名で器を修理する新宮由佳子さん(26)=島根県出雲市在住=が、大阪北部地震で割れた思い出の品の修復に力を入れている。「器が割れても捨てないでほしい」と会員制交流サイト(SNS)で呼び掛けたところ、被災地の住民から多くの依頼を受けた。器の作り手と使い手の橋渡し役を担おうと、作業に追われる。

 金継ぎは、陶磁器の割れや欠けを漆で接着し、継ぎ目を金や銀などで装飾する伝統的な修理技法。室町時代、茶の湯の世界から端を発したとされ、壊れた器の修復にとどまらず、新たな美的価値を見いだす。島根県内でなりわいとする職人は少ないという。

 出雲市出身の新宮さんは広島市立大芸術学部に入学し、漆や蒔絵(まきえ)を学んだ。初めて金継ぎをしたのは大学4年時。アルバイト先の和食店でおちょこを割り、料理長に修繕を頼まれ、参考書を見ながら取り組んだ。漆塗りの作業工程と似ており「自分でもできる」と直感。直したのを喜んでくれるスタッフや来店客の笑顔が忘れられず、2016年に帰郷し、金継ぎ師として活動を始めた。

 東京や松江で教室を主宰し、多忙を極める中で大阪北部地震が発生した。修理依頼は極力控えていたが、地震で割れた器だけでも受けようと決意。SNSでの呼び掛けがきっかけで、割れた茶わんや皿に関する相談が被災地から寄せられた。「自分の技で被災者の皆さんを少しでも元気づけられたらうれしい」。料金は破損状態によるが、ひびや欠けの場合、3千円から引き受ける。

 「直してでも使いたい器はなかなか出会えない。淡々と、雑念なく直すだけです」と新宮さん。素材の素晴らしさを生かす仕上がりにこだわり、壊れた器の魅力をよみがえらせる。

2018年7月29日 無断転載禁止