秘蔵浮世絵 見て触れて クローン展で米美術館コレクション再現

浮世絵のクローン文化財に触れ、質感を楽しむ来場者=松江市袖師町、島根県立美術館
 「世界一の浮世絵」が目の前に-。島根県立美術館(松江市袖師町)で開催中の「東京芸術大学クローン文化財展 甦(よみがえ)る世界の文化財~法隆寺からバーミヤンへの旅」に並ぶ7枚の浮世絵は、米国ボストン美術館の秘蔵コレクション作品を再現した。現地でも非公開の貴重な浮世絵を見るだけでなく、触れて質感を味わえ、香りも楽しめる。

 米国の富豪スポルディング兄弟が1921年、一般に公開しないことを条件にボストン美術館に寄贈した浮世絵約6500点の「スポルディング・コレクション」。貴重な初摺(ず)りを中心とし、「世界で最も美しい浮世絵」といわれる。

 文化財の価値の共有を目指す東京芸術大の研究チームが、同コレクション作品の高精細デジタル画像を元に、凹凸などの質感も再現したクローン文化財を制作し、日本への”里帰り”を実現。作品にちなんだ香りを漂わせる仕掛けも施して展示している。

 江戸期の喜多川歌麿「名所腰掛八景 ギヤマン」は、女性がグラスを口に近づけている様子を描いた作品で、ギヤマン(ガラス)の透明感をイメージし、梅に若葉やボタンを合わせた香りが漂う。ほかに歌川広重「名所江戸百景」などがある。いずれもそっと手で触れるか、作品に鼻を近づけると香りを感じられる。

 松江市魚瀬町の山野治男さん(66)は「香りづきも自然でよい。きれいなままの絵に触れることができた。写真で見るのとは大違いだ」と満足げだった。

 同展は、東京芸術大と山陰中央新報社などの実行委員会が主催し、8月26日まで開催(火曜休館)。

2018年7月30日 無断転載禁止