島根農業の体質転換/コメ依存から脱却を

 島根県が県内の農業生産の在り方を見直す。従来のコメ中心から収益性の高い野菜など園芸作物に重点を置き、畜産とともに三つの柱で生産振興を図る。そのために県の農業生産に数値目標を設定し、政策の実効性を期す。

 本年産米からコメの減反が廃止される中で米価下落などに備え、コメに依存してきた島根農業の体質改善を図る狙い。その方向性は追求されるべきだが、園芸作物はコメに比べて栽培管理に手間がかかり、安定した出荷量が求められるなど専業性が高まる。

 そのため専業的な担い手を育てなければならない。最近では生育状況の記録や肥培管理などにIT(情報技術)を活用した取り組みも模索されており、それらを積極的に取り入れた生産性の高い園芸農業を育ててほしい。

 県内の農業産出額は629億円(2016年)。このうち肉用牛を中心とする畜産が249億円と最も多く、次いでコメ191億円、野菜など園芸作物189億円。85年に1千億円を切って以来減少基調にあり、米価が下落した4年前からは畜産がコメを上回っている。

 畜産を除く農業産出額と農地面積を比較した県内農地の生産性は全国平均を下回り、水田稲作の比率が高いことが原因とみられる。県内には稲作に適した湿田が多い上、栽培管理に比較的手間がかからないこともコメづくりが主力になっている要因である。

 05年度に廃止して以来13年ぶりに復活させた農業生産目標は、16年実績に比べ産出額を100億円上乗せして730億円、飼肥料代や機械購入費などを差し引いた付加価値に相当する生産農業所得で20億円増やして300億円とする。本年度からスタートさせるが、目標達成時期は明示していない。

 しかし目標を掲げた以上、達成時期をあいまいにしては政策の実効性を検証できない。政策の成果を生産者や県民に分かりやすく伝えるため、達成時期を明らかにすべきではないか。

 農業産出額の増加分は主に園芸と畜産部門が担う。産出額20億円以上の県内の園芸作物は出雲市を中心に栽培されているブドウしかないが、県ではキャベツやタマネギなど重点野菜6品目を指定し、作目ごとに産地化を推進する。

 水田を園芸作物に転換するが、その際、水はけを良くするため、排水対策を実施しなければならない。生産者の負担が大きい排水対策を資金面で支援、助成する制度の拡充も必要だろう。

 最大の課題は担い手の確保であり、企業的農業を生かして栽培から加工まで手掛けて付加価値を高めたり、集落営農を拡大して水田から園芸への転換を促したりするなど幅広い手法を工夫したい。初期投資を抑えて園芸農業に参入しやすくするため、JAなどが実施しているリースハウス方式を活用して新規就農者も育てるべきだ。

 ナシや白ネギなど全国的に知られた園芸作物が多い鳥取県に比べて島根県は立ち遅れている。園芸作物は産地間競争が激しくコメ以上に価格変動が大きい。園芸市場に打って出るために県産品の特長を戦略的に打ち出すとともに、安定的な出荷量が欠かせない。生産目標を絵に描いた餅に終わらせてはならない。

2018年7月30日 無断転載禁止