救える命のために

 豪雨に猛暑、さらに逆走台風。過激さを増す気象の異変に「命に関わる」と繰り返された7月が終わった。猛暑はまだ8月に入っても続く。警戒は緩められない▼豪雨被害でも猛暑でも、犠牲者の中に弱い立場のお年寄りや子どもが目立つのがつらい。猛暑では、愛知県で校外学習を終え教室に戻った小1男児が熱中症で命を落とした。教室にエアコンはなく、室温は37度あったという▼家庭へのエアコンの普及率が90%を超えている時代に、小中学校のエアコン設置率は、文科省の昨年4月時点での調査では、まだ教室の半数にも達していない。全校集会などに使う体育館は1%余りだ▼しかも都道府県によって差が大きく、普通教室では100%近い東京や香川がある一方、10%に満たない県もある。山陰両県は25%前後だったが、昨年くらいから設置を急ぐ動きが出ている▼文科省は今年4月、54年ぶりに教室の望ましい温度を「17度以上、28度以下」に改定した。家庭にエアコンがなかった時代から続いていた「10度以上、30度以下」を見直し、やっと大人が働く事業所並みにした。しかし、外の気温が35度前後になると、教室に扇風機があっても28度はおぼつかない▼エアコンの設置を巡る論議は、地域によってはいまだに残る。「ひ弱にしたくない」との感覚も分からなくはない。ただ、昔とは気象条件も、街中での体感温度も明らかに違っている。救えるかもしれない命のために「エアコンは教室の必需品」という認識をまず共有したい。(己)

2018年8月1日 無断転載禁止