世事抄録 3号機は脱原発記念碑に

 「時代逆行だな…」と新聞紙面に悪態をついたのは5月下旬、中国電力が建設中の島根原発3号機(出力137万3千キロワット)の稼働に向け、島根県と松江市に審査申請の了承を求める事前了解願を提出したという記事を目にしたからだ。実は「安全審査」とは名ばかりで、申請先の原子力規制委員会は新規制基準に適合するかを判定することしかせず、かねて安全を保障するものではないと自ら明言している。

 東電福島原発事故から7年余、再稼働した原発は9基あるが新規に稼働した例はない。ただ申請を後押しする意図もあるのか、原発所在地の全国市町村協議会は先般の定例総会で、原発の新増設や建て替え、核燃料サイクルの将来像を示すよう国に要請。参加自治体からは「電力の安定供給や温室効果ガス削減のため原発は必要」など、カビの生えた妄想のような声しか聞こえないのが日本の現状である。

 海外では原発大国スウェーデンが最近、2040年までに再生可能エネルギーで全電力需要を賄う目標を掲げた。太陽光などの劇的な発電コスト低下を受け、同様の転換を図る国々が目立つ。反対に地震活動期に入った日本列島での原発新規稼働は、過酷事故のリスクだけでなく、いったん運転すれば将来の廃炉、膨大な汚染除去に多大な出費が付きまとう。“周回遅れ”の3号機は、世界唯一の脱原発記念碑に転用するのが上策だと思う。

 (松江市・風来)

2018年8月2日 無断転載禁止