不祥事続くスポーツ界/組織運営の見直しを

 日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題の背景には、内田正人前監督による独裁的なチームの運営があったと第三者委員会が最終報告で厳しく批判した。日本ボクシング連盟の山根明会長が日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金を不正流用するなどしていたことも明らかになった。

 いずれもガバナンス(組織統治)体制が機能不全に陥っていた実情が浮かび上がった。スポーツの組織運営に対し、かつてない厳しい視線が注がれている。

 かつて奈良県ボクシング連盟の会長を務めていた山根会長は公平で公正な試合を運営する責任を放棄し、審判に圧力をかけ、判定の結果を意のままに操った疑惑が持たれている。2年前の国体で、2度ダウンを喫するなど明らかに劣勢だった奈良県代表選手が判定勝ちしたのは、山根氏の指示によるものだったと指摘されている。

 ボクシングの都道府県連盟幹部や元選手ら300人を超える関係者がスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)に提出した告発状は、合わせて12項目の不正疑惑と不適切な財務処理を指摘する内容となっている。

 山根会長は2012年ロンドン五輪で金メダル選手を誕生させたと自らの手腕を強調し、連盟の規定を変更して「終身会長」のポストに就いているというから驚く。

 日大アメフット部の問題では、内田前監督が大学の人事担当常務理事だったことで、運動部全体を統括する「保健体育審議会」(保体審)を事実上牛耳る立場にあったと、第三者委員会は認定した。

 指導体制に対するガバナンスが欠如し、内田氏の独裁を可能にしたとの指摘は、重大反則行為の背景をずばりと言い得ている。

 日大相撲部員で学生横綱となり、卒業後は日大職員、相撲部監督、さらに常務理事、理事長となった田中英寿氏に対しても、第三者委は絶大な権力と影響力がありながら、事後の対応などで積極的な役割を果たそうとしなかったと批判した。内田氏の後ろ盾だった田中理事長はいまだに記者会見を開いていない。組織運営における透明度は限りなくゼロに近い。

 ボクシング関係者の多くは山根氏の独裁ぶりに我慢できなくなり告発状を提出した。今になって不適格な人物を会長に選任してしまったと後悔し、公正な組織運営の大切さを痛感しているのだろう。

 告発状を出すような事態に陥らないために、一部の幹部への権力集中を防ぐ民主的な組織を本来は自身で築いていなければならない。意思決定機関である理事会はボクシングと必ずしも直接的な関わりのない人物を外部理事として迎えるなど、この機会に近代化を進めるべきだ。

 選手の意見に耳を澄ませて組織運営し、選手の代表を理事に迎えることをJOCは推奨している。選手の意見を聞く習慣があれば、判定の不正疑惑に対して、迅速に正しく対処できるはずだ。

 不正やパワハラを見過ごさない通報窓口を備えていることも、独裁的な振る舞いを抑え込む上で効果がある。

 スポーツへの社会的関心は年々高まっている。常識と高潔性を失えば、チームも競技団体も容赦なく批判される。

2018年8月3日 無断転載禁止