高校野球100回大会/健康を考えたルールに

 全国高校野球選手権大会が開幕する。前身の全国中等学校優勝野球大会が1915年に始まり、第2次世界大戦による中断を経て今回、第100回大会を迎える。スポーツの枠を超え、国民から愛されてきた夏の風物詩は歴史的な記念大会を祝う。

 各地方大会は猛暑の中で進められた。京都大会は選手の体調管理の観点から、試合スケジュールで柔軟な対応をした。準々決勝の日、最も気温の高い時間帯にしばらく中断し、第3試合を午後4時ごろ、さらに第4試合をナイターで午後7時すぎに始めた。

 日本高野連の事務局長はこの対応を「英断だ」と高く評価し、甲子園大会でも来年以降、こうした熱中症対策の検討が必要になると話した。

 その通りだ。選手の健康を何より優先し、1日4試合なら、午前中に2試合を行い、その後いったん中断し、日差しが弱まった後、残り2試合を実施するのが好ましい。

 高野連は大会日程のスムーズな消化と選手の疲労軽減を目指し「延長引き分け再試合」制に代え、延長十三回以降は点が入りやすくなるよう無死一、二塁から攻撃を始めるタイブレーク制を今春の選抜大会から採用している。今大会の地方大会では、全国で35試合がタイブレークに突入した。

 とはいえ、高野連は投手が2日連続して登板することを禁じていない。投球数や投球イニングを制限してもいない。投手が肩と肘を故障する危険は依然として大きい。

 高野連が次の100年を見据えて発表した「高校野球200年構想」の五つの目標には「けがの防止」もはっきりとうたっている。

 ダルビッシュ有投手が提言するように投球イニングの制限か、もしくはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で実施している投球数制限に乗り出すべきだ。

 高校野球はこれまで、数々の逆転のドラマと投手の力投でファンを魅了してきた。しかし、優れた投手が連投し、2日間で合わせて250球も投げれば、肩と肘に悪影響が出ないはずがない。

 ここまでの100年は、投手の健康に十分配慮することなく、その奮闘を美化してきた100年ではないのか。

 少子化の影響もあり、高校球児の数は減少している。部員が9人に満たず、近隣の学校と「連合チーム」を編成して地方大会に臨むケースが増えている。一方、部員が100人を超える強豪校は10年前の2倍以上に増えた。

 二極化が進む中で、投球数を制限したのでは、いわゆる弱小校が勝ち進む可能性はさらに小さくなるから、そのようなルールは導入したくないというのが高野連の姿勢だ。

 しかし、これまで同様に、投手の酷使を事実上容認していていいのか。そうした前近代的な考えで、これまでに何人の投手が肩や肘を壊し、野球を断念し、夢を諦め、涙を流したことだろう。

 強豪校のエースも長いイニングは投げないようになるのだから、部員が少ないチームだけが不利益を被ると考えるのは間違いだ。

 球児の健康こそが未来を開く。けが防止のために、高野連はもっと大きな声で、複数の投手による継投を奨励し、そのためのルール作りに乗り出してほしい。

2018年8月5日 無断転載禁止