仕事みてある記 光の色や角度工夫 舞台の成功に一助

「記録より、人の記憶に残る仕事をしたい」と語る舞台照明スタッフの田尻直子さん=松江市殿町の島根県民会館
舞台照明スタッフ

田尻(たじり) 直子(なおこ)さん

   (松江市殿町)

 演(えん)劇(げき)やダンス、コンサートなどの公(こう)演(えん)に欠かせないのが、舞(ぶ)台(たい)照明(しょうめい)。演(えん)目(もく)のイメージや出演者の熱演を照明による演出効(こう)果(か)で際(きわ)立(だ)たせる、裏(うら)方(かた)の重要な仕事の一つです。松(まつ)江(え)市殿(との)町の島根県民会館で照明スタッフの一人、田(た)尻(じり)直(なお)子(こ)さん(44)は「記録より、人の記(き)憶(おく)に残る仕事をしたい」と、仕事への意気込(ご)みを話します。

 最大1722人入る大ホールと668人の中ホールを備(そな)える同県民会館には、30種類以上のライトがあります。出演者を目立たせるスポットライトに、舞台の天(てん)井(じょう)から下に向けて照(て)らすサスペンションライト、客席側から出演者を照らすシーリングライト、舞台後ろの幕(まく)や壁(かべ)に人(ひと)影(かげ)を映(うつ)し出すときなどに使われるフットライトや背(はい)景(けい)を表現(ひょうげん)するホリゾントライトなどです。

 舞台照明は、演目の場面、役者の心理描写(びょうしゃ)に合わせて赤や青などさまざまな色で照らし、観客を舞台の世界へといざないます。

 主人公を際立たせるのか、全体を照らすのか-。田尻さんたちスタッフは、催(もよお)し物の主(しゅ)催(さい)者(しゃ)や舞台監(かん)督(とく)など関係者と綿(めん)密(みつ)に打ち合わせをして、舞台に最(さい)適(てき)な照明機材を選び、セットします。色を付けない普通(ふつう)の明かりでも、当たる角度に細心の注意を払(はら)います。「グランドピアノの鍵(けん)盤(ばん)上に落ちる光の影(かげ)によっては、ピアニストが演(えん)奏(そう)に集中できなくなる場合もあります」

 舞台照明の仕事には、演劇・舞台関係の学部・学科がある大学や専(せん)門(もん)学校を卒業して就(つ)くのが一(いっ)般(ぱん)的ですが、特に学歴や免(めん)許(きょ)、資(し)格(かく)は問いません。しかし、それぞれの照明機器の特(とく)性(せい)や取り扱(あつか)い方など電気関係の知(ち)識(しき)が必要なのと、光への興味(きょうみ)や感(かん)性(せい)が求められます。

 「英語ミュージカルをやり、衣装(いしょう)や小道具、照明など裏方の仕事の楽しさを知った」という田尻さん。大学卒業後、劇(げき)団(だん)四(し)季(き)の裏方募集(ぼしゅう)に応(おう)募(ぼ)し、舞台監督の助手を5年務(つと)めました。その後、舞台関係の職員(しょくいん)を募集していた郷(きょう)里(り)の県民会館へ。入って3年目から照明担(たん)当(とう)になり、今年で10年。「照明だけが目立ってもいい舞台にならない」と、仕事の難(むずか)しさを話しますが、「舞台が無事に終わり『良かった』と言われたときは『力になれたな』と思えます」と魅力(みりょく)を話しました。

★メッセージ

 どんな仕事でも、常(つね)に一生(いっしょう)懸(けん)命(めい)に向き合っていくことが大事です。つらいこともありますが、諦(あきら)めずに続けていけば達(たっ)成(せい)感(かん)があじわえます。舞(ぶ)台(たい)芸術(げいじゅつ)を創(つく)り上げるには1人や1担(たん)当(とう)の力だけではなく、さまざまな人の力を合わせていくところが楽しく、舞台の仕事の魅力(みりょく)です。

2018年8月8日 無断転載禁止

こども新聞