クローン文化財展 音と香り 空間を演出 法隆寺金堂展示室

香りとお経の音で臨場感を高めた法隆寺の展示室でクローン文化財を鑑賞する来場者=松江市袖師町、島根県立美術館
 島根県立美術館(松江市袖師町)で開かれている「東京芸術大学クローン文化財展」の法隆寺金堂の展示室で、展示物とともに来場者を魅了しているのが香りと音だ。どこからともなく読経の声が聞こえ、お香の香りが漂ってくる仕掛けが臨場感を高めている。

 「いい香り」「お寺にいるみたい」。国宝釈迦三尊像と金堂壁画を再現したクローン文化財が並ぶ空間で、8日も来場者が驚きの声を上げた。

 香りの秘密は足元3カ所にある噴霧器で、お香、ヒノキ、ミントの香りが出る。東京芸術大と共同で開発した小川香料(東京都)のシニアパヒューマー安間裕子さん(54)は「法隆寺の歴史にまつわる香りの演出を目指した」と話す。

 お香は寺の空間を思わせ、ヒノキは法隆寺の建築材。ミントは他の二つと混ざって爽やかさを加える。人の動きや空調の流れで香りも動き「自分に付いて回るようにも感じられる」(安間さん)という。

 読経は、毎年1月に金堂内で営まれる法要・修正会(しゅしょうえ)で僧侶がお経を唱えながら金堂内を右回りに回る実際の音声を、展示室内に配置した18個のスピーカーで連続性を持たせて再生している。

 香りの演出は浮世絵でも行われ、安間さんは「美術館で香料を使うのはタブー視され、挑戦したことはなかった。多くの人に楽しんでほしい」と話した。

 「東京芸術大学クローン文化財展 甦(よみがえ)る世界の文化財~法隆寺からバーミヤンへの旅」は東京芸大、山陰中央新報社などの主催で26日まで(21日は休館)。

2018年8月9日 無断転載禁止