レッツ連歌(下房桃菴)・8月9日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 ボケているのかトボケているのか

噛み合わぬ話飛び交うお茶の会 (出雲)櫛井 伸幸

縁日の指輪十指にはめて見せ  (松江)高木 酔子

警報が出てるさなかの自民亭  (松江)持田 高行

信号が青になっても渡らない  (松江)澄川 高子

徘徊の見守り役はくたびれて  (浜田)勝田  艶

分からない人なんだよね昔から(奥出雲)松田多美子

生き生きと昔のことは話す母

            (埼玉・所沢)栗田  枝

妻ですと美人の横に坐る爺   (美郷)芦矢 敦子

お父さまもういい加減にしてください

             (隠岐の島)大田 有子

二億ほどワシの遺産を分けてやる(美郷)芦矢 敦子

鼻こするクセが出てくりゃご用心(雲南)横山 一稔

真実を知るのが怖い私です   (松江)加茂 京子

押し売りに茶菓子も出して長話

            (兵庫・明石)折田 小枝

人口は減るのに議員の数は増え (松江)岩田 正之

八十を超えて無欲の境地なり  (益田)石田 三章

適当に使い分けてるとこがいい (浜田)松井 鏡子

ウラ取れぬ自白刑事を翻弄し  (益田)可部 章二

おいくつと問えば二十歳(はたち)と言うじいちゃん

               (出雲)原  陽子

木久ちゃんに座布団二枚やってくれ

               (江津)花田 美昭

チコちゃんに叱られている大女優(益田)石川アキオ

レジの人財布の中を覗き込み  (浜田)滝本 洋子

お年玉もらってないとジジは拗ね(出雲)放ヒサユキ

二人して電子レンジに返事する (出雲)石飛 富夫

付き添いの妻を貰えと母勧め

            (埼玉・所沢)栗田  枝

ポイントのたまるわけない診察券(松江)山崎まるむ

失敗はすべて他人のせいにして (出雲)野村たまえ

総理とは一味ちがう副総理   (松江)安東 和実

           ◇            

 お隣りのおじいさんとか、親戚のおばあさんとか、昔は、そんなにボケた人はいなかったように思います。でも、よく考えると、その人たちは、当時60、70、せいぜい80。ボケる前におおかたは亡くなっていたのですね。とすれば、たしかに今はいい時代。お世話するかたは大変ですが、うまく連歌にでも詠み込んで、ストレス発散なさってください。

 枝さんは近ごろメキメキご上達。今回の「昔のことは」など、少し前なら「昔のことを」とされていたはず。たった1字の違いですが、これは大きな大きな1字です。

 洋子さんの「財布の中を覗き込み」―、おもしろいですね。レジの人以上に、待たされている次のお客がイライラしているのじゃなかろうか。小銭を1枚ずつつまみ出してはトレイに並べる。やっと並べ終えたと思ったら、ちょうど1円だけ足りない、…なんて、人さまのことを申しておるわけではありません。私はスーパーではプリペイドカードを使うことにしているのですが、そのカードがしょっちゅう失くなるから不思議です。

 「電子レンジに返事」も、私はちょこちょこやってしまいます。「はい、はい」なんてのはいいほうで、二度も三度も催促されると、つい大声で「分かってる、ちゅうんじゃ!」

 近年の心理学の成果によれば、「失敗はすべて他人のせいにする」ことは、精神衛生上とてもいいことなのだそうです。それはそうでしょう。

 総理も副総理も、お元気でなによりです。

           ◇

 次の前句は、

  ただのオッツァンかと思ってた

 ところが実は、すごく偉い人だったり、恐い人だったり、意外とおもろい人だったり、人生さまざまな出会いがあります。

 愉快な長句(五七五)を付けてください。

               (島根大名誉教授)

2018年8月9日 無断転載禁止

こども新聞