島根の算数学力/読解力不足が原因では

 島根県の小中学生の算数・数学の学力が低迷している。全国学力テストで毎年のように全国平均を下回り、全国最下位クラスに沈む年も少なくない。

 事態打開に向けて県教委では小学校でモデル校を選んで算数の授業改善に取り組んでいるが、思うような成果はみられない。学習意欲の改善もうかがえず教員の指導力も問われている。

 子どもたちの興味や関心を引きながら、算数に必要な筋道を立てた考え方に導く授業の在り方をどう確立し、県全体に広げていくか。子どもたちの声に耳を傾けながら、県教委と教育現場が一体となって授業の在り方を見直し、算数嫌いを少しでも解消してほしい。

 今年の全国学力テストの結果が公表された。小6と中3を対象に国語、算数・数学、理科の3教科で行われ、国語と算数・数学では基礎を問うA問題と応用力を試すB問題に分けた。

 島根県の成績は、小学校国語Bを除く全教科で全国平均を下回り、特に算数・数学で全国平均との差が目立った。平均正答率の全国順位で小学校算数はA、B問題とも最下位クラスだった。この傾向は毎年のように続いている。

 単純な計算問題は大体できるが、少しひねった文章題になると問題の意味が分からなくなる。各教科にわたって正答数の分布で上位層が少ないのも島根県の子どもたちの特徴である。

 授業の進め方が表面的になっていることをうかがわせる。現場の教員は努力しているのだろうが、子どもたちの興味や好奇心をくすぐりながら、論理的な思考に発展させる道筋を探しあぐねているようにみえる。

 授業改善に向けたひとつのヒントは、全国の平均正答率との比較で国語Aが最も大きく下回ったことをどう考えるかである。基本的な読解力が不足し、言葉に対する知識や理解が足りない傾向が読み取れた。

 算数とは一見関係ないようにみえるが、文章題では計算力の前に文意を読み取る力が求められる。そうした認識が教育現場でどの程度共有されているのだろうか。遠回りのようでも文章を読むことを毛嫌いさせないことが、算数の力に結び付くのではないか。 学力テストと同時に行われたアンケートで、家庭学習を1時間以上すると答えた島根県の中3生徒の割合は全国最下位だった。3年前の小6の時よりその割合は減っており、通常なら小学校から中学に進むにつれ家庭学習時間は増えるはずなのに島根はその逆だった。

 積み重ね型教科である算数・数学の授業を分かるようにするためには予習が有効だが、それに十分な時間を割いていないようだ。スマホやゲームなど子どもたちの家庭学習時間を圧迫する環境は全国共通なのに、なぜ島根の中学生の家庭学習時間がこれほど少ないのか、その要因を家族の協力を得ながら明らかにすることも必要だろう。

 定員割れが続く公立高校入試の在り方もその要因とみられ、影響が義務教育に及んでいるのではないか。入試と学習意欲は密接に結び付いており、学習の動機づけが求められている。主体的な動機づけに知恵を結集したい。

2018年8月14日 無断転載禁止