クローン文化財展 「法隆寺釈迦三尊像」実物と四つの相違点

両側に立つ脇侍の配置を反対にするなど本来の姿を目指した法隆寺釈迦三尊像のクローン文化財=松江市袖師町、島根県立美術館
 島根県立美術館(松江市袖師町)で開催中の「東京芸術大学クローン文化財展」に展示する「法隆寺釈迦三尊像」は、奈良の法隆寺にある国宝の実物と見まがうほどだが、大きく4点の違いがある。本来の姿により近づけるための工夫で、「現物を超えたオリジナル」を目指すクローン文化財の特長が表れている。

 実物は7世紀に完成してから約1400年の間に破損した部分などがあるが、国宝で現状変更が制約されるため、そのままになっている。

 宮廻正明東京芸術大名誉教授(松江市出身)らの研究チームがあえて実物と違う作りにした箇所の一つが、中央の釈迦如来像の頭に多数ある、巻き貝のような形をした頭髪・螺髪(らほつ)だ。実物では欠損した部分が多いため、全てを復元した。さらに、実物では欠落したままになっている眉間の「白毫(びゃくごう)」を水晶で作り、取り付けた。

 釈迦如来像の両側に立つ脇侍(きょうじ)は、実物と反対に配置した。根拠は脇侍がまとう天衣だ。両脇侍とも、右手と左手の袖のたもとの長さが微妙に違うが、実物ではいずれの脇侍も、長く、外に開いた方の袖が、釈迦如来側に来る不自然な配置だった。入れ替えることで違和感がなくなったという。

 4点目は像の後ろの「大光背」で、実物にはない、炎のような「飛天(ひてん)」を付けた。取り付け穴とみられる26個の穴が残っていたことから、同時代の仏像などを基に再現した。

 広島市南区から訪れた神田嘉文さん(77)は「実物を忠実に再現するだけでなく、本来の姿を追求しているのは面白い試みだと思った」と話した。

2018年8月17日 無断転載禁止